ネタバレ注意

スーザン・ケイ原作のストレート版。
前編の感想はこちら

冒頭にエリックのモノローグ、前編の登場人物が印象的なシーンや台詞を言う再現付き総集編有り。

"抗い難し者"

エリックに関するナーディルの独白により、物語は始まる。
ナーディルの勧めで、ペルシャに渡るエリック。そこで、皇帝に宮殿の作成を依頼される。しかし、その皇帝の要求が次第にエスカレートしていき、現場から離れて自分の元に来いという命令に変わるが、あと、一週間だけナーディルの息子・レイザーの側にいたい、とナーディルに伝える。実はレイザーの病気が進行しているためだった。そして、苦しんで死ぬよりは、と毒を飲ませレイザーを安楽死させるエリック。命令を聞かないことで、皇帝の反感を買い、流刑になるが、ナーディルの助力により逃げ出す。しかし、代わりにナーディルが皇帝の手先に捕まってしまう。
故郷のボッシュヴィルに帰ると、エリックの母・マドレーヌは一人寂しく死んでいた。その遺品の中にパリ・オペラ座の設計コンペの記事が載っている新聞があったのだが、審査は既に終了。そこでオペラ座建設現場に忍び込むが、建築家・ガルニエがエリックが幼い頃に設計した図面を参考にしていることを知る。そして、エリックの指揮の元、建設は進められる。
途中、洪水が起き、その水源を利用して地下湖に部屋を作ったり、こっそり隠し部屋を作ったり。オペラ座完成の日、市民からガルニエが評価されるなか、地下に移り住むエリック。


"抗いし者"
ある日、クリスティーヌとメグがオペラ座に現れる怪人について話している。メグと別れた後、亡くなった父親が遣わしてくれると言っていた音楽の天使は何時、来るのかと一人ボヤいていたら、それを聞いてしまうエリック。
そして、エリックの持つ声を生かすのはこれしか無いと思い、音楽の天使として、クリスを指導することを思いつく。

クリスへの指導が進むなか、エリックの策略の元、カルロッタが体調を崩し、代役も倒れ、クリスのデビューへ。

そこにラウル登場。ラウルに食事を誘われるものの、音楽の天使に叱られると、断るクリス。一人、楽屋でエリックの素顔が観たいと呟いたら、そのまま地下へ連れ去るエリック。そこでエリックの素顔を見てしまうクリスだが、その顔を観たあともそこに留まる。

オペラ座屋外でパリの警察長官になったナーディルと再会するエリック。エリックにクリスを返すよう助言。そして、クリスを戻すエリック。

今度は婚約指輪を見せクリスに言い寄るラウルだが、やはり、音楽の天使は裏切れないと地下に戻るクリス。その際にジュールと会い、エリックが薬漬けであることを知る。

オペラ・アイーダラスト、花嫁衣装を着て稽古を促すエリックだが、あまりに似合い過ぎたため、プロポーズをするエリック。そして、明日、返事を聴かせて欲しいと地上にクリスを戻す。

ラウルからも改めてプロポーズ受けるクリス。誰にも聞かれないようにするため、屋上に行き、エリックにサヨナラを告げると決意するクリスだが、それを偶々聞いてしまいブチギレるエリック。

その怒りのまま、シャンデリアを落下させ、クリスを拉致。そこで、クリスに『何が望みか』を聞かれ、キスをするエリック。
すると、仮面を剥がされ、クリスからもキスをされるエリック。

暗転後、ラウルのモノローグでスタート。
昏睡状態の時に、クリスは諦めるが、もう一度地下に来るようにエリックに言われるが、無視。すると、クリスが単独で地下に。慌てて、追いかけるラウルだが、エリックは死んでいた。

"エピローグ"
数年後、クリスの息子・シャルルがロンドンでデビューする。
そして、ラウルと供にパリに渡る。オペラ座前で感慨に耽るラウル。実は、シャルルはエリックの息子で一種の区切りをつけるために来たのだった。

そして、最後に『望みはパリの街を歩く事、仮面を取って』というエリックのモノローグで幕。


山本@エリック
前編も同じ人で観ているのだが、かなり声を作った演技。若さからくる思い通りにならない苛立ちキャラ?
音楽の天使になっても、その設定は変わらないのだが、クリスに話しかける時は加工した低音。その声に関してはかなり怪人イメージ。
なんか『ドラゴンボール』のベジータ(堀川りょう)を彷彿する声質。

佐藤@ナーディル
ペルシャ人といわれて、なんとなく分かるゴツゴツしさ。客演というのは顔の系統が違うので納得。って、結構、他作品でも観てはいるのだが。

牧島@タキ・カーン
警察関係者。この人の声が大変に良く皇帝よりも威厳があったチョイ役。

及川@ヴァイオリン人形
台詞もない、ましてや進行上、全く関係ないのに、つい特記したくなる存在。『ガラカメ』に出てくる遺産を相続する人形の如く、登場するだけで目をひく。

及川@マドレーヌ
前編では観られなかった方のマドレーヌなのだが、やはり、小うるさいな役が似合い過ぎる。

仲原@ガルニエ
キャラ的に印象は弱いのだが、あのエリックと上手くやっていけるという貴重キャラ。


松本@クリスティーヌ
女形にしてはゴツいが、可もなく不可もなく。こう、無理に甲高くないし。

岩崎@ラウル
すっげー、チャラい。坊ちゃん。なのに、最後はヒゲ。役としては美味しいハズなのに、地味なのは役者?演出?

牧島@カルロッタ
思いっきり男性が演じてます、という演技。そのため、三の線をいくカルロッタ。で、タキ・カーンと同一人物というオソロシイ事実。

藤原@ポリーニ
声質的に気になった人その2。ほとんど出番はなく、付き人においしい処は全て持っていかれるのだが。


河内@支配人
最後まで、出演せず。代表!そして、この劇団を見始め、三本目にしてやっと、劇団公演で観ることが出来た(笑)



物凄く濃い内容。ひたすら気分屋のエリックに周りが振り回される話で、それは最後まで続く。こう、余裕というモノがエリックに無いのだが、原作のキャラ設定なのか、役づくりによるものなのか。
そんなエリックに惹かれるというよりは腐れ縁のように離れられないクリスティーヌ。
そして、チャラいというか、え、その行動?というラウル。

このエリックとラウルの会話で結構なツッコミ所をさらっと流すシーン多数。周りに笑っている人も居ないのだが。

いわゆるALW版の登場人物とは異なる設定で、二次創作に。でも、細かい処で踏襲というか、リンクしている。


音楽がクラシカルなモノとロック調なモノと二種類あり。それが効果的に使い分けられ、特にロック調な曲の時の高揚感がまた堪らない。また、映画版の『英国王のスピーチ』のサントラを今回も使用した気がする。

美術とバックに描かれている背景が、大変に細かい。それを上手く利用する照明。一番惹かれたのは、クリスが地下に一人で戻るシーンの背景。ほぼ新演出『レミゼ』のバルがマリウスを運ぶ下水道シーンと同じ使われ方なのだが、その背景と役者の動きがシンクロ。
他にも、カーテンのように上に持ち上がるシルエットと供に現れる背景という効果がこれまた秀逸。

さて、待望の後編。
女形役者が歌舞伎のように声を作らず、そのままで演じるため、ちょっと異質な作品に。でも、それに対する違和感は無い。
で、石飛@ナーディルと曽世@ラウルが観たいのだが、映像を待つべきか…。