ネタバレ有り。
田舎で一人暮らす達吉の元に息子の進介が帰る。神隠しにあっていた母親、早苗が戻ってきたと告げられたためであった。実際には、男と共に蒸発しただけなので、達吉が騙されているのでは?と感じた進介だが、帰宅した時には、既に早苗は住みついていた。そんな母親の態度に最初は困惑するものの、普通に馴染んでいる母親に、苛立ちを隠せない進介。決して、『ただいま』とは言わないと宣言。じつは、進介の妻も男と蒸発したのだった。そこにトリモチが髪にくっついて離れないという女性、満が現れる。
とりあえず、そのトリモチを取り除き、なぜ、こんな山の中に居たのかと、問いただす達吉だったがと、神隠しに遭いたいと一点張りの満。
鞄の中に睡眠薬が入っていることを知っている達吉は5日後の天狗祭まで、一緒に天狗探しに協力することにする。
天狗祭り当日、天狗に扮した進介を見たことで、何かの踏ん切りがつく満。そこで調子に乗った達吉が、屋根に登り、天狗に呼びかけると、大きな物音と共に何かが飛んでいく。
翌日、進介は蒸発した妻とやり直すために、帰ろうとしていた。そこに満を送り、戻ってきた早苗に、無意識に『ただいま』と告げる進介。それを早苗に指摘され、照れくさそうに去る進介。
そして、生涯最後のトリモチ作りに励む達吉と早苗で幕。
村井@達吉。
蓑を身に纏い、天狗の仮面を付け、(吹くことが出来ない)法螺貝を持って客席から登場。いきなりの天狗コス(なのか?)。そこで、『法螺は吹けないけど、ホラはふく』という、オヤジギャグを披露。その後もトリモチを使用して、やりたい放題だったのに、息子に一喝されシュンとする68歳。
声がお疲れなのか、役に拠るものなのか若干ハスキーで低音の良い声でないのが残念。それでも通る声の好々爺。
男と蒸発した妻に対して、怒りよりも帰ってきてくれた事が嬉しく、一緒にいるときは、かなりラブラブな2人。
妻を連れ去った天狗に対し、返したくれた事に感謝しつつ、もう誰も連れていかないでくれと嘆願し、現在の状況を心底感謝しているという、特に裏の無い役。
日本人役は実に10年振りらしいが、こういう普通のお爺ちゃんというのは珍しい。それ故に、その辺に住んでいる田舎の爺さんっぷりがツボ。
池田@進介。
村井氏に較べると発声が残念、というか、元々舞台で通る声ではないけど。それでも、父親に苛立ちを持ちつつ、その血が流れているダメ人間。そして、相変わらず存在が胡散臭い。
岡本@早苗
置かれている状況がかなり特異なのだが、それを感じさせない強気な博多女。原因のほとんどが自分にあるのに、完全に開き直り。それがイヤミにならないのは、岡本さんの女優としての存在感か?
川崎@満
この三人だと、灰汁が弱い。田舎にいきなり現れた小娘キャラと見れば、こんなモノか。ただ、元々の配役が冨樫真と知って、かなり残念。多分、冨樫さんならこの三人にも負けないミステリアスな謎めいた小娘になったろうに。
話全体としては王道を行くストーリー。でも、ちょっと変わった日常を描く本作だが、出演者が安定の個性派ドモなので、その設定に違和感を感じさせない。
で、そのなかでも、普通に変なことをし始める920氏が、もうツボにハマりまくり。丁度、隣に座ったご婦人が細かく笑いを拾う方だったので、つられて思う存分、笑いながらの観劇。