
久しぶりに森林の空気の匂いを嗅いだ。
なんとなく懐かしくて、良い匂いだった。
自然と深呼吸したくなる。
母校の札幌市立高専(現札幌市立大学)が
森林に囲まれて建っていたので、
体育の授業では毎回せせらぎコースという川べりの森林の道を走った。
色んな虫がいたし、環境デザインの授業で
川から汲んだ水の中にいたプラナリアの観察もした。
道端にはもぐらや狐、狸の死骸や骨がパタリと力尽きていたり、
夏に陽が落ちてから下校する際には
グラウンドという名前の湿地帯から、
蛙とコオロギの鳴き声が聞こえてきた。
エントランスに迷い込んで、
ライブラリーのガラス張りの入り口に激突しまくっていた
野鳥(茶色い小鳥)を捕まえて逃がしたこともあった。
その日々の中で嗅いでいた匂いと同じだった。
母校の航空写真。こんな感じ。
清家清先生デザインの凄く綺麗な学校。
左上に見えるのは芸術の森美術館。↓

今年は紅葉が少ないのか、紅く色づく前に落葉してしまうのか、
秋の山はなんとなく橙色をしている。
深緑と黄と橙のコントラストが絵画か織物みたいで美しかった。
その日、初雪虫を見た。
雪虫って全国どこでも通じる単語だと思ってたんだけど、
東京生まれの友達には通じなかった。
雪虫っていうのは小さなアブラムシの一種らしく、
小さな身体のお尻にほわほわと白い雪のような
綿毛みたいなものがついていて、
空気中に沢山飛んでいると雪みたいだから雪虫って名付けられたんだと思う。
毎年、初雪の数週間前に現れるので、
道産子にとっては雪虫が見えたら「もう冬なんだな~」としみじみ思う
風物詩のようなもの。
と言うと聞こえは良いけど、
実際は自転車をこいでると洋服に大量についたり
グロスをつけてれば唇に貼りついて、
運が悪いと目の中に入ってきて眼球で圧死するような、
人間にとってはやや迷惑で、虫にとってはやや可哀想な虫だ。




かさこそ足音を立て近づいてくる。冬。

(リアルタイム更新)