
ティム・バートン監督の作品は大体どれも好きだけど、
『シザーハンズ』は中でも思い出深い。
知らない人はほぼいないであろう、この映画。
THEティム・バートンって感じのゴシック的寓話。
パステルカラーの町並み。
絵本から抜け出したようなお城。
両手が鋏でできた人造人間エドワード。
初めて観たのが子供の頃。園児の時くらい?
美容室の小さなテレビモニターで上映されていた。
顔面蒼白で傷だらけ、両手が鋏、頭ぼっさぼさのエドワードが
美容室の椅子に座らされ、
その膝の上を跨いで座る
メイクが異常に濃いおばさん。
ゆっくりと胸のチャックを下ろして
ブラジャーを剥き出しにしてエドワードを誘惑し、
エドワードはただ驚いて目を剥く。
当時私が目撃したのはこのシーンのみ。
こええええーーー(子供の感性)
となったのをよく覚えている。
画的に色んな意味で刺激が強すぎた。
完全に「気持ち悪いホラー映画」という認識がその時
刷り込まれていた。
「異色ホラー以外の何物でもないやろこれ、気色悪!」
というイメージが長年続き、
まともに鑑賞したのは二十歳過ぎてから。
ジョニー・デップの演技力に圧倒され、
ふと『シザーハンズ』の存在を思い出してDVDを買った。
そこでこの映画の良さに漸く気付いたのだった。
俗世間に接したことがなかったエドワードは
とても心優しく純粋な青年。
彼を家に招いた家族はとても優しかったが、
町の人々からはその外見だけで注目され、
面白がられたと思いきや誤解されて忌み嫌われ、
人を疑う事を知らず利用された挙げ句
心優しいのが災いして最終的には追い詰められる。
最初は外見に怖がっていたヒロインのキムは
一緒に暮らすうちにエドワードの優しさに惹かれ、
エドワードもキムに一目惚れするんだけど、
鋏で傷つけてしまうから触れることすら出来ない。
それでも愛する人のために想いを貫くエドワード。
このストーリーはただのお伽話というより
バートン自身の青春時代感じていたものをエドワードに重ねて書いたらしい。
切な過ぎるぜティム…。。
切ないがゆえにぐっとくる映画。
ホラーなビジュアルと、登場する生身の人間よりも
繊細で優しい表情のギャップは印象的だ。
※画像は初鑑賞直後に描いたエドワード