テレビでニュースを見ていて、
風俗店に勤務していた女が
生後まもない赤ちゃんの
生首を冷蔵庫に入れていた
事件の詳細を知って、
ショックを受けていた。
人が生まれる確率は、
約1兆400億分の1とも
言われる。そんな確率を
クリアして生まれてきた
赤ちゃんの命が、すぐに
母親によって絶たれて
しまった。
ニュースを見ていると、
うちのインターホンが
鳴った。私が出てみると
週刊誌の記者がいた。
数年前にも同じことが
あったのだが、私の
中学生時代の友人のT君が
事件を起こしたらしい。
私がT君と会ったのは
成人式の時が最後なので
約20年以上もT君と会って
いない。
週刊誌の記者は私達の
中学校の卒アルを見て、
T君の同級生に片っ端から
取材しようとしていた。
記者がしつこくT君のこと
を聞いてきたので、私は
久々に切れて記者を
追い返した。
後でネットで調べて、
T君が起こした事件のこと
を知った。T君の実名や
個人情報がネット上で
晒されていた。T君の
4年前の免許証まで
ネット上で晒されていた。
私とT君は昔、近所の
パン屋さんや本屋さん
などに行って遊んでいた。
彼はサッカーが上手くて
サッカーの推薦で高校に
進学したはずだ。
私の中で、T君は好青年の
ままだった。記者がうちに
取材に来なかったら、T君の
その後を知らずに済んだ
かも知れない。そう、人には
「知らないままでいたい権利」
も確かにあるのだ。
40代になると、同級生で
病気や事故で亡くなった
友人や事件に巻き込まれた
友人などの話を耳にする
ようになる。
特に自分が楽しんでいた
中学時代の友達が、もう
当時のメンバーで勢揃い
することができないのだと
思うと、とても悲しくなる。
T君のことは、昔の
サッカーが上手い好青年の
まま、私の中に記憶して
おこうと思った。