近所を歩いている時に、個人の

パン屋さんに早売りの週刊少年

ジャンプが売られていた。雑誌を

早売りしてはいけないらしいが、

早売りをしているお店は結構多い。

 

自分が小学生の頃を思い出した。

近所に(別の)個人のパン屋さんがあって、

そのお店は私の後輩K君の家だった。

K君のパン屋さんでは、月曜日に

出る週刊少年ジャンプを土曜日に

早売りしていた。販売しているのは

K君のお母さんで、土曜日だけ

そのお母さんはやけに高圧的な

態度になっていて、「女帝」と

呼ばれていた。

 

私やクラスメートのAさんは、

土曜日になると頻繁にK君の

パン屋さんに並んでジャンプを

買っていた。私やAさんだけでなく、

近所の小学生から高校生ぐらいの

人まで、大勢の人達が並んで

早売りジャンプを買っていた。

 

理由はシンプルで、当時のジャンプ

が面白過ぎたからである。特に

ドラゴンボールは大人気で、地球に

やって来たラディッツに対して

マジュニアが魔貫光殺砲を使っていた

頃で、戦闘力が上がっていく様子に

キッズ達は興奮していた。

 

土曜日にパン屋でジャンプを

早売りしていたK君のお母さんは

ドヤ顔で凄く偉そうだった。

でも、他の曜日にパンを買いに

行くと、女帝は「食パンを

切ったるわ」などと言って

やけに優しくなっていた。

 

先日、このパン屋で一緒に

並んでいたAさんと、約30年

ぶりにXでやり取りをした。

Aさんはみずほ銀行ロンドン支店

でエースとして働いた後、

今はオーストラリアに住んで

いるという。約30年ぶりに私が

Aさんと話した1発目の話のネタ

が、このパン屋の女帝に関する

話だった。

 

Aさんは言っていた。「私は

シティハンターを読むために

早売りのジャンプを買っていた。

でも、ジャンプを売っていた

女帝は怖かった」と。

 

土曜日の女帝はやはり怖かったのだ。