『今年最大の台風19号は猛烈な風と雨を従えて今夜にも関東に上陸の見込みです。

これから1時間以内に今の雨が急速に暴風を伴った雨に変わりますので不要不急な外出は控えてください』








ザーッ








直「雨強くなってきたなー」




「真司郎くん電車だよね?もう予約も入ってないし、

帰って大丈夫だよ?あと私やっとくし」



直「そうだな、電車動いてるうちに帰らないと」



真「ほんですか!?ならそうさせて貰います!」



「気をつけてねー(^^)」



真「はい、お疲れ様です!」



直「明日は定休日だし、ゆっくり休めよ~」



真「ありがとうございます!お先に失礼します!」








ビュォォォッ








直「もう閉めるか」




「そうだね、これ以上風強くならないうちに帰ろ」



直「俺飛ばされないように植木だけ中に入れとくし、莉子は裏の戸締りしてきて」



「うん、わかった」


















疲れたな……



洗濯、部屋干しでやっちゃおうかな…




でも結構濡れちゃったからな…お風呂入ろ






ガチャッ






「ただい……!







え、帰ってる?




しかも見たことない靴…




今日会社に泊まってくるって言ってたじゃん…






「涼?帰ってるの?」








『アンッ…アッ…アッ…』



「!!」



『…アッ…アン…イクッ…』



「………」










ついに家にまで…声も我慢しないで…




私が帰ってきたら…なんて思わないんだね





何かもう…我慢するの、虚しいや…









どうしよう…外は凄い雨




でも…ここには居られない…居たくない













「はぁっ…はぁっ…」





寝室での光景を忘れようと傘もささずに一目散に家をでてきていた




雨のお陰で涙は誤魔化せたけど





どれくらい走ったのか、気づけば店まで来ていた





びしょ濡れで寒い…

幸いお店の合鍵があるから中に入って暖をとろう…





『え、莉子ちゃん??!』



「…!…日高く…ん?」



光「え!そんなに濡れてどうした!?大丈夫!?」



「日高くん……フエッ…」



光「え!?ほんとどうしたの!?」



「うぅ~(泣)」





何故だろう…



日高くんが声をかけてくれた事に安心して涙が出てきた





光「…とりあえず外危ないから、俺ん家おいでよ…近いから」




…コクンッ




光「タクシーもつかまらないし、5分くらい歩くけど大丈夫?」



「……うん」



光「そんなずぶ濡れじゃ寒いでしょ、これ着てて」



「……」





そう言ってスーツのジャケットをかけてくれた日高くん





いつでも優しい…




今は…今だけは…




彼の好意に甘えたい…