日「………出ねぇな…」



佐「日高くん?」



日「佐藤ちゃん午前中泉と会ってたんだよね?」



佐「うん。あ、泉に電話?」



日「したんだけど、何回鳴らしても出ないから…」



佐「寝てるのかな……あ…」



日「なんかあるの?」



佐「そういえばあの子咳してた。風邪ひいたみたいで…」



日「え……」



佐「もしかしたら熱出ちゃったかな…しんどかったら連絡してって言ってあるんだけど、我慢する子だからね(^^;)」



日「……佐藤ちゃん、新横浜からの最終の新幹線て何時?」



佐「ちょっと待ってね…………」





あいつ…また無理したんだろ…



薬の服用が終わってからまだ日が浅いから免疫力がまだ低くて病気を貰いやすい



最終の新幹線で帰って午前中に戻ればリハには充分間に合うよな…




佐「お待たせ…23時28分だよ」



日「まだ席空あるかな」



佐「いつくかあるみたいだけど……もしかして帰るの?」



日「午前中までに戻って来れば間に合うでしょ?」



佐「間に合うけど…日高くん1人で行くことになるし、私が様子見にいくよ?後で木村くんも来るし…」



日「体調悪い時に1人だと辛いし…側に…居てあげたいんだ」



佐「…わかった。本当はタレント1人で行かせられないんだけど…終電だし、大丈夫だと思うから…」



日「ありがとう!」



佐「先に発券だけ済ませておかないと…新横浜寄るよ~」



日「おねがいします!」













ゴホゴホッ ゴホゴホッ



「んー…」




朝よりも重くなった咳で目が覚めた



体を起こそうにもだるくて重い…




ん?おでこが冷たい……




「え…?」



日「あ、起こした?ごめんな」



「光…啓……?」



日「熱…あるなら連絡しろよ」



「え…今日…横浜…なんで?」



日「電話しても出ないから…なんかあったんかと思ってたら、佐藤ちゃんが風邪ひいてるって教えてくれたから…」



「今…何時?」



日「24:30だよ…」



「ダメだよ…明日…ゴホゴホッ



日「あーもう喋るな…寝てなさい」



「喉…乾いちゃって…」



日「はい、水…あとこれ佐藤ちゃんから」



「解熱剤…?」



日「うん、飲んでから寝な?」



「ありがとう……あ…」



日「ん?」



「服…」



日「あぁ、汗だくだったから着替えさせたよ…ごめんな」



「ううん…ありがと////」



ゴホゴホッ



日「熱、何度あった?」



「38℃…ちょい」



日「高いな…喋ってるの辛いだろ…朝までここにいるから…安心して寝てな」



「うん…」




ギュッ




日「眠れるようにこうしててあげる」



「うつっちゃうよ…」



日「お互いマスクしてるし大丈夫だよ」



「うん……光啓…」



日「ん?」



「ありがとう…ちょっと不安だったんだ」



日「連絡くれたらすぐ飛んでいくって言っただろ?(^^)」



「そう…だったね……」



日「佐藤ちゃんとの話の内容って仕事再開の事やろ?」



「ん?……うん…」



日「いつから再開するん?」



「…え…っと、春…から…徐々……に………」




日「…………泉?……寝たのか(^^;)」




チュッ




日「おやすみ………」







泉が眠りに就いたのを確認して、そっとベッドから抜け出る




寝室の端の小さいソファに腰掛けて控えめな間接照明をたよりに新曲の歌詞を書きつつ、規則正しい寝息を立てる泉の様子を見る




SKY-HIツアーが始まる前日に不安を抱えて1度弱音を吐いた彼女



それでも地方を廻り終える頃には驚くほど快方に向かっているのが感じられた



それからは仕事に行く俺を笑顔とキスで見送ってくれた



復帰を待ってる人のために全力で頑張る彼女に、あの柔らかくて場の空気を一瞬にして和ます笑顔がやっと戻りつつある今…



ツアーが終わったら改めて告げよう













特別な約束をもう一度…