シャワーを浴びて風呂から出ると手紙を読みながらぼろぼろ涙を流す泉が目に入って後ろからぎゅっと抱き締める
華奢な背中に背負いきれないくらいの自責の念をずっと背負っている姿がちょっと前の俺みたいで胸が張り裂けそうになる
日「それが涙の原因?」
「……」
日「読んでもかまわない?」
「……(こくん)」
………
日「……なんて言うか……ごめん、言葉にできない……」
「光啓……」
手紙を読んで気付けば一筋、涙が流れていた。
色々重ねてしまったんだ
過去にあった親友の壮絶な裏切りを経験してる俺は状況は違えど同じ苦しみを知っている。
あの時は本当に無気力でどんな言葉を紡ごうが薄っぺらく感じて、精神的にもどん底に落ちていた。
そのどん底に愛しい恋人が落ちている……
抜け出したいのに抜け出せないでいる……
俺が少しでも支えになりたい
あの時の仁美さんの言う通り、吉澤さんもきっと泉の悲しそうな顔なんて見たくないはず。
吉澤さんだけじゃない、ファンのみんな、AAAメンバーやスタッフのみんな、もちろん俺だって泉にはいつも笑顔でいて欲しい。
ふと優しく包まれる感覚がした
日「泉?」
「……ありがとう……そうやって、一緒に泣いてくれて」
日「前に言っただろ?泉の悲しみも全部共有したいって……泉が少しでも楽になるならどんな辛いことも一緒に受け止める」
「……っく……あり…がとっ」
日「気が済むまで泣いていいよ……ずっと、こうしててあげる」
「うん……」
日「もう…泣かなくてもいいように、涙は全部出しな?」
「うん……」
神様、彼女の苦しみはあとどれ位泣いたら無くなるんですか?
あなたが本当に存在するならいますぐにでも悲しみの渦から解放してください…
俺の時みたいに、乗り越えるための光をください……
親友が早すぎる死を遂げてどん底から這い出そうと必死にもがいていた時に、泉が新メンバーとして入ってきた
ルックスがタイプなのもあったけど、毎日モデルの仕事の後に残って練習してる姿とか…ふとした時に見せる可愛らしい笑顔を見ると実は心無しか少し癒されてる自分がいた
宇野や千晃とは違う何かを知らずのうちに心が感じていのかもしれない
そんな事を考えていると、ふと彼女が倒れた日の事を思い出した
あの時と同じ…助けてあげたい
苦しみを和らげてあげたい
いつの間にか泉のせせり泣く声が止んでいた
日「涙止まった?」
「うん、ありがとう……ずっと傍にいてくれて」
日「ねぇ……前に泉が倒れた時の事覚えてる?」
「うん」
日「あの日の少し前に泉への想いに気付いたばかりで……
病院で佐藤ちゃんに、これからは何があっても俺が泉を守る!って約束したんだ……」
「そうだったんだ…初めて聞いた////」
日「何があっても守るよ。約束する……だから、戻って来いよ……ここに。」
「……いいの?」
日「もう嫌だって言っても離さないから」
「私だって…離れる気ないよ」
日「うん、離れないで」
「ねぇ…」
日「ん?」
「今だけ辛いこと……忘れさせて」
日「……仰せのとおりに…」
「ぁっ…ぁん…////」
彼女の願いを叶えない理由がない
一糸纏わぬ姿の泉をまるでガラス細工を扱うように優しく愛撫すると、応えるように可愛く喘ぐ……
俺を感じてるこの瞬間だけは、幸せな気持ちでいて欲しい
彼女の中にある悲しみを今すぐには取れなくても、俺と過ごす事で笑顔に変えていけばいい。
悲しい時は傍にいてずっと抱き締めてあげる
だからもう俺の知らない所で涙なんて流さないで……
泉の笑顔は俺が守るから……