『日高さん!聞いてますか?!』




日「あ、ごめん木村くん」




『何かあったんですか?今日はずっと上の空ですよ』




日「ちょっとね……」




『吉井さんと何かあったんですか?』




日「いや、そんなんじゃないけど」




『とにかく、今からラジオ収録なんで集中してくださいよ』




日「わかってるよ」





あの後、泉の家に泊まる準備をしに家に帰ろうとした時に切羽詰まった栗ちゃんから呼び止められた。



『日高くん!よかったまだ居てくれて』


日「何かあったの?」


『スケジュールミスでこの後取材が入ってたの!』


日「まじか!」


『ごめんね!木村君には場所伝えてるし、

記者さんにも少し待ってもらってるから急いで行って?』


日「分かった!」






急遽取材が入ったから一応泉にLINEしたけどあいつも多忙だからすぐには既読はつかない。




その取材はSKY-HIの新曲の事で、音楽評論家の男性だったからすげぇ話し込んで気づけばだいぶ時間が押していた。




泉からLINEと電話もきてたのに気付きもせずに話に夢中になっていた。




ごめんね、忙しいんだよね。

もう寝るね…




と入ってるのを最後に今日まで泉から連絡がない。

連絡すればいいのに、愛想つかされたかと思うと怖くて出来ない……




こんな事も、こんな気持ちも初めてだ……





それに、あの時泉を抱きしめた真司郎の目は本気だった。




真司郎の気持ちが読めない……




今こうしてる間にも動き出してるのかもしれない。




真司郎を信頼してない訳じゃない……

けどあいつが本気になれば俺なんか敵わない。




そんな女々しい考えの自分が甚だ情けない。













今日のラジオは俺がSKY-HIとしてデビューした時からお世話になってる先輩の番組にゲストで呼ばれていた。




収録自体は楽しかったし、滞りなく進んだ。




木村さんが仕事があるからと呼んでくれたタクシーで家に帰る。




ふと思い立って泉に電話してみる。




『この電話は現在電波の届かない…………』




くそっまた今日もすれ違い……





会いたい…




この手で今すぐ抱きしめたいのに…




そんな時、俺の心情を察したかの様に直也くんから着信がきた。








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浦「美味いだろ?」




日「うまっ!……で、用って何?」




浦「明日だって……泉と吉澤さんが会うの」




日「そうなん?」




浦「ずっとすれ違ってんだろ?

こないだ誘ったらさ、泉寂しそうだったよ……

なんで連絡しねーの?」




日「こんな気持ちになんのも初めてだからどうしたらいいんか自分でも分かんないんだけどさ……

何か……色々考え過ぎちゃって連絡出来ないんだよね、怖くて」




浦「お前らどんだけ似た者同士だよ(笑)」




日「え?」




浦「泉も同じ様なこと事言ってたぞ……自分が原因なのにしつこく連絡とろうとして嫌われるの怖いって」




日「泉……」




浦「みんな心配してんぞ……女子2人も、にっしーも秀太も……真司郎も」




日「ごめん、心配かけて」




浦「ま、どう仲直りするかはお前らしだいだからこれ以上は言わないけど」




日「うん、ありがと」




浦「気にしすぎだよ。もっとさ、千晃や秀太みたいに頭で考えずに感情で動いてみてもいいんじゃねぇの?


まぁ、お前の相手のことを1番に考える所が泉も好きなんだろうけど。」




日「感情で動くねぇ……」




浦「まぁ、次のリハまでに仲直りしてくんないとやりずれーから頼んだよ(笑)」




日「お…おぉ!」





いくら言葉を巧みに操る俺でも、こういう時の直也くんの棘のないストレートな言葉には叶わない……



この人、ほんとに暖かい言葉を欲しいタイミングでくれるわ。




今日はあんま飲むテンションじゃなかったから酔わないうちに2人とも解散した。




今日直也くんと話せてよかった……




そうだよな、うだうだ考えても纏まんねぇんだから会いたい気持ちのまま行動に起こせばいいんだよな……




明日、泉の家に行こう








もう…会いたくてたまらない…