「はぁ~」



ただ今12月12日 pm11:50



大好きな黒猫くんの誕生日……



も、あと10分で終わろうとしてる……



期待はしてなかった……
今日はSKY-HIのツアーのオーラス日
色んなアーティストと対バンやコラボで盛り上がってるはずだし、打ち上げも盛大にするだろうって思ってたから……



けど、どこかで私の事も頭の片隅にでも置いててくれてると思ってたから少し寂しい。



分かってるよ?
付き合いだってあるし、私の事なんか優先してる場合じゃないんだもん……



こんな時、一般人の自分が少し悔しい



「はぁ」



さっきから何度も出るため息をまたつく




あと5分……
今日直接言いたかった『おめでとう』を心の中で、せめて彼に届くように呟く




















12月12日という、私にとって1年でいちばん特別な日が無情にも終わってしまった。



彼からの連絡はない
それもそうだ。
光啓の誕生日祝いは昨日誕生日だった秀太さんのお祝いと一緒にメンバーのみんなとこないだやったし、プレゼントもその時あげた。
昨日と今日はLIVEな事は私も知ってるから、今私が家に居ることは光啓は知らないし……



明日はご褒美で休みをもらったって言ってたから、今日はSKY-HIチームの皆と朝帰りだろうな……



「シャワーも済ませたし、もう寝ようかな」




““Happy Birthday
もう過ぎちゃったけど、誕生日おめでとう。
打ち上げ楽しんでね?おやすみなさい””




すぐに既読はつかないであろうLINEにメッセージだけ入れてベッドに入ろうとしたら、ピンクの紙袋が目に入った。



「あ……そうだ、これ……」



光啓と付き合い始めて仲良しになった宇野ちゃんから預かった……正確には貰った光啓へのプレゼント






宇「これ香菜ちゃんにあげるね」

「何これ……」

宇「日高くんの誕生日の夜はそれを身につけてお祝いしてあげて?」

「え!Σ(///□///)……ベビードール?」

宇「可愛いでしょ?私から日高くんへのプレゼントって事で♥」

「にしてもセクシーすぎない?これ/////」

宇「誘惑しちゃいなっ(*•̀ᴗ•́*)و ̑̑
ここ最近あいつ忙しいから日高くん不足なんじゃない?」

「……よくご存知で/////」

宇「だてに長年日高くんと一緒にやってないし、日高くんも香菜ちゃん不足なの見てて丸分かりだから(笑)」

「……わかった////ありがとね(^^)」






光啓はここ最近まともに寝てない。
まぁ、いつものことなんだけど……
それでも12月に入ってからはいつ寝てるのか分からないくらいベッドに入ってる姿を見たことがない。



スタジオや仕事部屋に遅くまでこもっていて、私が泊まる時も先に寝てしまった私を抱きしめながら朝起きるのを待ってくれてる



半同棲状態なのにすれ違った生活で、正直寂しい。
でもそんな事言ったら光啓が困ってしまうのは分かるから口には出さない。




「せっかくだし今着てみようかな……」



紙袋から可愛くラッピングされた袋を取り出してパッケージを開け、黒×ピンクのそれに着替えてみる。



「すご…何かほんとに私がプレゼントみたい////」



リボンで巻かれたようなデザインが可愛いくて思わず全身を鏡で見る。



まじまじと鏡で見ているとほとんど透けていて隠れてる部分が少ない……
恥ずかしくなってきたからそそくさとベッドに潜り込んだ。




目を閉じるとすぐに睡魔がやって来て眠りについていた。