『いらっしゃい(^^)
あら、はーちゃんもさやちゃんもさらに美人になって~』



は「やだ、おばあちゃん♡ありがとう」



「おばあちゃんは元気そうでよかったよ~」



『私が倒れたらやってけないからね~』



は「おじいちゃんは?大丈夫なの?」



『大した事はないのよ、ちょっと風邪こじらせただけなの。

でももう年だからね、無理させるわけにもいかないから奥の部屋で大人しくしてもらってるわ』



は「役に立つ若い男手も来てもらったから」



與「お久しぶりです。真司郎です(^^)
何でも言ってください」



『あらぁ……ますます男前になって♥』



は「おばあちゃん、こき使ってやってね~」



『じゃあ遠慮なくそうさせてもらうわね~
……あら、こちらの可愛い子達も?』



「そうそう!私の友達の千晃と、実彩子だよ」



『わざわざこんな所までありがとうね~よろしくお願いします』



実「いえいえ、こちらこそお役に立てるかわからないですけどよろしくお願いします!」



千「何でも手伝います!」



『フロント周りの金銭が絡む所は私がするから、はーちゃんと真司郎くんはお客様の案内と送迎を頼みますね』



與「任せてください」



『あと、掃除やルームメイクはさやちゃん達に任せていいかしら?』



「任せて( •̀ω•́ )✧おばあちゃん」



『あとお夕食は私とこの後来てくれる板前の勇くんで用意するから、はーちゃんは調理場の手伝いとあなた達は配膳よろしくね。』



実 千「はい!」



『雑務はみんなで分担しましょ。
チェックインが3時やからそれまでに頑張ってね』






夏休みに入ってすぐに民宿を経営する母方のおばあちゃんから電話があった。



おじいちゃんが体調不良で宿を休みにするはずがどうしても宿泊したいお客さんがいて、1組のみ予約を入れたが団体さんらしく大変だから手伝ってほしいという話でお姉ちゃんと私、そして男手も必要だろうと言うことで真ちゃんも行くことに。



普段アルバイトで働いてる人もお休みでいないらしく、人数が多い方が助かるっておばあちゃんが言ってたから千晃と実彩子にも話をすると喜んで参加してくれた。



おじいちゃんの事を心配してるお母さんは仕事だから来れないけど、おじいちゃんの様子をお姉ちゃんが後で電話で伝える事になってる。



千「エプロン可愛くて気に入っちゃった♪」



実「ほんと~さり気ないワンポイントがオシャレだよね~」



千「紗矢香聞いてる?」



「あぁ、ごめん」




ここなら日高くんの事、考えずに過ごせそう……
そんな事を考えてたら千晃と実彩子の話を聞いていなかった



千「だっちゃんの事考えてた?」



「違うよ!?」



実「はいはい、隠さない隠さな~い」



「逆だよ……ここなら、日高くんの事思い出さずに住みそうだなって……」



千「紗矢香……」



実「紗矢香、後で話したい事あるんだ」



「うん、分かった」
















『みんなお疲れさま。後はおばあちゃんだけで大丈夫だからみんなは自由にしてね。
お風呂は自由に入ってくれて構わないからね。

あと、明日は朝食が8時だから7時には降りてきてね。
はーちゃんはまた手伝ってほしいからもう少し早くお願いできる?』



は「わかった」






思っていた通り民宿の仕事は大変で、業務が終わる頃にはみんなくたくたで部屋に戻る。






実「せっかくだしお風呂でゆっくり話さない?」



「いいねぇ」



千「今の時間は私たちだけしか使わないらしいしね。たのしみ!」



実「じゃあいこう!裸のお付き合い♪」





3人でこの民宿の売りであるお風呂に向かう。
お風呂はもちろん温泉で、山奥ならではの緑に囲まれた開放的な空間で日常を忘れられる。




千「はぁ~♥疲れが取れるね~」



「千晃おばさんみたいだよ(笑)」



千「いいのいいの♪うちらだけしかいないしね」



実「しかし、こんなハードな仕事を普段は4人でやってるんでしょ?
凄いね、おばあちゃん達(^_^;)」



「ほんとに(^_^;)……あ、話って何だったの?」



千「紗矢香……だっちゃんの事、実彩子から聞いた」



「…………」



実「紗矢香が誤解してる事もあるから確認したいんだけど、日高くんの事……まだ好き?」



「うん……好きだよ……」



実「良かった(^^)実はね……紗矢香が見ちゃった事は事実なんだけど、あの2人は付き合ってるわけじゃないんだ」



「え……」



実「あれは真中さんの苦し紛れの対抗っていうか、紗矢香への嫉妬から無理やりされたって日高くんが言ってたよ」



「……そう…なんだ」



千「紗矢香…だっちゃんてチャラいし、女子にいい顔ばっかしてるけど、気持ちの部分では一途だから好きになった人に振り向いてもらえないからって簡単に諦めたりしない人だよ。」



「それは凄く分かるよ……絶対振り向かせるからって宣言されたし」



実「日高くんらしいね(笑)」



千「だっちゃんは今も紗矢香の事好きだよ……」



「…………」



千「向こう帰ってからだっちゃんに電話してみな?
で、ちゃんとだっちゃんの口からホントの事聞いたらいいよ」



「うん……」



実「紗矢香も日高くんが好きなら、告白しやすいように態度で示してあげなよ?

……日高くん紗矢に構ってもらえなくて結構落ち込んでるから」



「てっきりもう遅いのかと思って……無視なんかしちゃって……悪い事しちゃったな……」



千「まぁ元はと言えばだっちゃんが自分から撒いた種だからしょうがないよ。
それも、ちゃんと電話で伝えなよ?」



「そうするよ……ありがとう千晃、実彩子」



実「……じゃあこの話終わり!温泉を楽しもっ♥」




この後は存分に温泉を楽しんで部屋で寛いでいたが、慣れない仕事をした疲れもあってすぐに眠くなって気付けば千晃と実彩子は熟睡していた。




日高くん、今何してるんだろ……




電話をしてみようと思ったけど今現在23時30分
完全に迷惑な時間帯。




ここだとゆっくり話出来ないし、東京帰ったらしてみよう。






何て切り出そう…




勘違いして避けてしまってごめんね?






それとも……




昔から考え事すると眠れなくなる
明日も早いし、考えすぎちゃダメだ……寝よ。







こうして民宿1日目の夜は更けていった。