大きな通りを左に反れた辺りから
見慣れた制服の女の子達が
同じ方角に向かって歩いている姿が見える。
中には車を横付けしている生徒もおり
三浦を乗せた車はそれらの列から
少しだけ手前に止まり彼女を降ろした。
登校する生徒に紛れ歩きだすと後ろから声をかけられた。
「星さん、ごきげんよう。」
振り返ると窪田響子が微笑みながら歩み寄って来た。
「おはよう、響子。今日も暑いねー。」
「本当ですわね。
それよりも星さん、今日の現国の授業は小テストが
おありになるそうよ。
テストばかりで嫌になってしまいますわね。」
「あ、そうだったの?
何も準備してないなぁ。」
気の抜けた返事をした三浦を
ウフフと可愛らしく笑う彼女を見て安心する。
響子は名前を聞いたら誰でも知っている有名な資産家の孫娘で
生粋のお嬢様である。
おっとりしてはいるが頭が良く気が回る。
それでいて自分の家の金持ち具合を鼻にもかけず
小さな頃から染み付いた品の良い振る舞いは
嫌味がなくとても好感が持てる。
学園に入学し同じクラスで
隣の席になったのがきっかけで仲良くなり
今では彼女と一緒にいる時間が多い。
女の子にしては身長がいくばか高い三浦は
響子と歩幅を合わせ
最近飼い始めた犬の話を熱心に語る彼女の声に
耳を傾けながら、相槌を打ち
時には質問をしながら
学園の中へと進んで行く。
図書館が見えた辺りで
ふと視線を上げてみると
窓辺に寄りかかり下を眺めている人影を捕らえた。
―今日もいた。
三浦の視線の先に気が付いたのか
「あのお方、今日もいらっしゃいますわね。」と言った。
「うん。。。」
「いつも思っていたのですけれど
心なしか此方を見ている気がするのは
私だけでしょうか?」
「響子もそう思う?」
「えぇ。私達を見ているとゆうよりも
星さんを見ている様に見えますわ。」
確かに響子が言うのは当たっている。
ここ毎朝、図書館付近を通る度に視線を感じ
上を見上げるといつも人がいる。
決まって同じ窓辺に同じ人が。
顔はハッキリ見えないが
見覚えはない。
多分、上級生だろう。
この学園は変わっていて
1、2年生は同じ校舎で3年生は別校舎と分かれている。
3年になると受験が控えている事と
進みたい進路、成績によってクラスが異なる為
丸々ひと校舎を3年生用として使用する。
下級生が上級生の校舎へ足を踏み入れる事は皆無に近く
今年入学した三浦や響子らが
3年生と触れ合う機会は学園祭位だろう。
それもまだ先の話だ。
「さしずめ、図書館の君とでもお呼びしましょうか。」
―図書館の君か…
いつの間にか三浦の歩みは止まり
その場に立ち尽くしていた。
見慣れた制服の女の子達が
同じ方角に向かって歩いている姿が見える。
中には車を横付けしている生徒もおり
三浦を乗せた車はそれらの列から
少しだけ手前に止まり彼女を降ろした。
登校する生徒に紛れ歩きだすと後ろから声をかけられた。
「星さん、ごきげんよう。」
振り返ると窪田響子が微笑みながら歩み寄って来た。
「おはよう、響子。今日も暑いねー。」
「本当ですわね。
それよりも星さん、今日の現国の授業は小テストが
おありになるそうよ。
テストばかりで嫌になってしまいますわね。」
「あ、そうだったの?
何も準備してないなぁ。」
気の抜けた返事をした三浦を
ウフフと可愛らしく笑う彼女を見て安心する。
響子は名前を聞いたら誰でも知っている有名な資産家の孫娘で
生粋のお嬢様である。
おっとりしてはいるが頭が良く気が回る。
それでいて自分の家の金持ち具合を鼻にもかけず
小さな頃から染み付いた品の良い振る舞いは
嫌味がなくとても好感が持てる。
学園に入学し同じクラスで
隣の席になったのがきっかけで仲良くなり
今では彼女と一緒にいる時間が多い。
女の子にしては身長がいくばか高い三浦は
響子と歩幅を合わせ
最近飼い始めた犬の話を熱心に語る彼女の声に
耳を傾けながら、相槌を打ち
時には質問をしながら
学園の中へと進んで行く。
図書館が見えた辺りで
ふと視線を上げてみると
窓辺に寄りかかり下を眺めている人影を捕らえた。
―今日もいた。
三浦の視線の先に気が付いたのか
「あのお方、今日もいらっしゃいますわね。」と言った。
「うん。。。」
「いつも思っていたのですけれど
心なしか此方を見ている気がするのは
私だけでしょうか?」
「響子もそう思う?」
「えぇ。私達を見ているとゆうよりも
星さんを見ている様に見えますわ。」
確かに響子が言うのは当たっている。
ここ毎朝、図書館付近を通る度に視線を感じ
上を見上げるといつも人がいる。
決まって同じ窓辺に同じ人が。
顔はハッキリ見えないが
見覚えはない。
多分、上級生だろう。
この学園は変わっていて
1、2年生は同じ校舎で3年生は別校舎と分かれている。
3年になると受験が控えている事と
進みたい進路、成績によってクラスが異なる為
丸々ひと校舎を3年生用として使用する。
下級生が上級生の校舎へ足を踏み入れる事は皆無に近く
今年入学した三浦や響子らが
3年生と触れ合う機会は学園祭位だろう。
それもまだ先の話だ。
「さしずめ、図書館の君とでもお呼びしましょうか。」
―図書館の君か…
いつの間にか三浦の歩みは止まり
その場に立ち尽くしていた。