HI-FIVE

IS

COMIN'!!!!


2010.11.03.OUT!!!!



$DABO Official BLOG『PAPER MOON MAN』powered by アメブロ


1. カタパルト・デッキ

2. サンテグジュペリ(夜間飛行)

3. ラップ現象(降臨なう)

4. デッパツ進行

5. ケツにマシンガン

6. Love and Hate(ニコイチ)

7. TEST Mi feat.RYO the SKYWALKER

8. I REP / DABO, ANARCHY, KREVA

9. AZS feat.Kj from Dragon Ash

10. オレヨマケンナ。

11. お江戸花吹雪

12.SWEET 90's BLUES feat. SUIKEN,K-BOMB

13.KO-KO-DA (エピローグ・ソング)



当の本人による全曲解説 その2

サンテグジュペリ(夜間飛行)

Produced by DJ WATARAI



ちょえいー。ダダダダボーでおますー。PAPAPAPA PUFFYっぽく言ってみたけど特に意味なしやで。今日はSAMURAIマガジン出てますな、11月号。コンビニ行ってみ。なかなか見れない絵面だろ。うん、俺が見てもまだ違和感あるもんw つーかいい男だろ相方!真横に並んでるのに俺が一歩前に出てるかのような錯覚に陥る遠近感クラッシュな表紙。つーか俺相変わらずイナテーなぁ見た目...骨太っ!爆


でわ今日も参りましょーか全曲解説。鮎レディ?ッシャ、いこや。今日は昨日解説した「カタパルト・デッキ」に続くアルバムの二曲目の「サンテグジュペリ(夜間飛行)」を語ろうと思います。いやー、でも長くなるなまた。さーせん、お付き合いのほど。アルバムHI-FIVEにはたくさんの俺の思い入れが入ってるんだけど、その中でもこの曲はわかりやすいくらいわかりやすい。あなたが30~40の間の年齢で、多感な年頃にがっちりニッポンのヒップホップと愛し合っていたなら、俺はこのシットであなたを感動させる自信があるよ。そういう仕組みになってる。もちろんそうでないリスナーにも勇気を送れると思う。これはヒーローの歌なんだ。俺の人生を変えたやつら。MC。ラッパー。15の時から俺のヒーローはラッパーだよ。ロックンローラーじゃない。シンガーソングライターでもない。野球部のエースでもヤンキーでもチーマーでもない。ラッパーだ。MCだ。堂々とマイクを持って高らかに自らを宣言して、ガツンと人の心に入っていく、最高にクールでホットなやつら。ずっと憧れてる。もう20年だよ。短くないぜ。それでも今も憧れてる。10年やっても収まらない。なぜだろう。俺はヒーローになりたい。マイクロフォン・コントローラー。マスター・オブ・セレモニー。最高のMC。あの時のヒーローみたいに。昨日のことのように思い出すよ。あの頃俺にも憧れたMCたちがいた。でもこれは裏のテーマ。


タイトルの"サンテグジュペリ"は「星の王子様」で有名な作家の名前で、副題の"夜間飛行"も同名の彼の著書の名前だったりする。加えてさらに「人間の土地」という氏の著書のイメージがこの曲のリリックのテーマを決定的なものにしている。サンテグジュペリは飛行機乗りの作家で、実際仕事として空を飛び回るうちに達観して悟り開いちゃったみたいな人なんだよね。今で言うと宇宙飛行士が悟り開くみたいな感覚?このひとが活躍してたの90年前ぐらいだからね。とにかくすごく好きな作家なわけ。対訳もいいんだろうな。前述の「人間の土地」にこんな一説がある。「ぼくは、アルゼンチンにおける自分の最初の夜間飛行の晩の景観を、いま目のあたりに見る心地がする。それは、星かげのように、平野のそこここに、ともしびばかりが輝く暗夜だった。あのともしびの一つ一つは、見渡すかぎり一面の闇の大海原の中にも、なお人間の心という奇蹟が存在すること を示していた。あの一軒では、読書したり、思索したり、打明け話をしたり、この一軒では、空間の計測を試みたり、アンドロメダの星雲に関する計算に没頭したりしているかもしれなかった。また、かしこの家で、人は愛しているかもしれなかった。それぞれの糧を求めて、それらのともしびは、山野のあいだに、ぽつりぽつりと光っていた。努めなければならないのは、自分を完成することだ。試みなければならないのは、山野のあいだに、ぽつりぽつりと光っているあのともしびたちと、心を通じあうことだ。」


ああ。美しい文章。他にもこの小説はパンチラインだらけだから是非興味があったら手に取ってみてほしいんだけど、今の一説がこのアルバムHI-FIVEに宿る世界観を完璧に代弁している。俺が昨日HI-FIVEは開けたアルバムだと言ったのはこーいうことよ。いろんな人がいろんな場所でいろんなことしていろんなこと考えてる。俺はそのすべてにこのアルバムで触れたいんだ、果敢にも。しかめっ面でフード被った俺の仲間たちの後ろに、そうでない何千万人を見ているんだ。七三でネクタイして一日中外回りしてるやつかもしれない。今日こそは職安行こうって思いながらパチンコ行っちゃうやつかもしれない。カメラの前でしか笑えないモデルかもしれない。生まれも育ちも静岡のブラジル人かもしれない。朝から朝まで働き詰めの肩に墨入ってるシングルママかもしれない。言い出したらみんないろいろあるよ。なきゃおかしい。みんなプルプルしながらギリのとこで戦ってる。だから環境は違っても気持ちわかることあるよ。ヒップホップだなんだって枠を超えた大きな理解。俺たちには生きてるっていう共通点があるからさ。生活に追われながらなんとか楽しいこと考えて息をしてる。養ってもらってるやつにはわからないかもしれない、でもいずれわかるよ。人生はシャレじゃないよ。楽しいことの倍辛いことあるよ。人間は脆いよ。それでも顔上げるんだよ。過去で腹は膨れないよ。未来だけがおまんまをくれる。ある日突然大事な人が目の前からいなくなっても、俺たちは生きていかなきゃならないんだ。


このアルバムで俺は金や貴金属を自慢することを一切していない。したのは才能だけ。地に足着けたリリックしか書いてない。実際は一部のブルジョアにしかわからない世界をさも自分のことのように歌うこと、そーいう俺たちの遊び、今回はよしとしてないんだ。なぜならより多くの人に届けたいから。ちゃんとね。ダンスフロアーやラグジュアリーカーじゃなくてもハマるラップあるよって。パーティーの気分じゃなくても聴けるラップあるよって、ニューエラ被ってなくても気持ちわかるラップあるよって。勇気もらえるけどチャラくないラップここにあるよってさ。つーか日本語ラップヤバいよーってさ。わからせないといけないわけだ日本中に。10年やって改めて。だって俺の後ろに何万人の才能あるMCがいる?これはアメリカでも日本でもどこでもそうだけど、その日その晩その国で一番ラップがうまいMCはいつだって契約もないストリートのMCだよ。そいつはCDも出してないし誰も顔も知らない。でもマイクさえ渡せば爆発するんだよ。俺はMCである前にラップマニアだからそんなやつらが国民的スターになるシーンを生きてるうちに見たいよ。スターが俺のターンならガッチリやることやる。でも俺じゃなくてもいい。なんせこれから次の世代の時代がくることは間違いない。そん時のために耕しておかねーとさ、耳を。フード被らない日本人のね。なんせ隅々まで届くメジャーの流通に乗っけてベテランとか言われる俺がCD売るんだから身内受けじゃないことしねーとなんの意味もない。俺は先に繋がることがしたい。


冒頭に戻ろう。この曲はヒーローに捧げている。それは若かった俺の人生を変えたMCたちであり、同世代のライバルMCたちであり、俺を煽る次の世代のMCたちであり、そしてこの俺自身でもある。リリックにはいろんな日本語ラップキーワードがちりばめられている。脈々と受け継がれ進化していく日本語ラップとそのシーン。そしてこれを聴くであろうあなたにも捧げている。あなたがシーンの住人を自覚してようとしてまいと関係ない。俺はあなたに向かって歌う。エールを送る。これは過ごしてきた時間、数々の出会いや別れ、いくつもの思い出を胸に抱いてなんとか今日を生き抜こうぜ、明日に向かおうぜという俺なりの人間讃歌だ。人生讃歌でもあり、もちろん日本語ラップ讃歌でもある。アンセムだ。俺と俺の仲間の、そして顔も知らないあなたのためのアンセム。その昔何人かのMCが俺の人生を変えた。俺も誰かの人生を変えただろう。そいつがまた誰かをの人生を変える。続いていく。誰かの過去が俺の未来を作る。俺の過去が誰かの未来を作る。人は一人じゃない。繋がっている。終わらない輪廻。営みを歌いたいと思うのだ。人間として避けられないものを。俺はMCだ。ラップのプロだ。もう20年もヒップホップと生きてる。そんなDABOがヒップホップを通して生身の人間を歌う。村の外まで響く音量で鳴らす。HI-FIVEはそんなコンセプトで作られている。さぁDJワタライの勇ましいビートに乗ってカタパルトデッキから星空へ飛び立とう。天の川を渡って夜間飛行へ。星のマイクロフォン王子が案内しよう...ではまた明日ここで。最後にリリックの一部を抜粋して終わろう。PEACE TO YOU




「サンテグジュペリ」


どこまでも遠く 旅していこう

通過中なう お前の頭上

手に手を取り広げるテリトリー

俺のファミリー 乗れ俺のこのベロに

フローは翼 風を切り裂く

俺がキャプテン エースストライカー

未来担う舵取る緑の星の王子

俺がマイクマスタッッ!