わお。秋だよおっかさん。もうスーパーブーツを履けるとは半月前には思わなんだ。まぁ夏大好きだけど秋も好きだから問題ないねーまったく。秋刀魚食わなきゃだし温泉行かなきゃだし冬モン届く時期だし紅葉見逃せないし盛り沢山じゃのー。制作にも気合いが入る季節だしアルバムバチッと作り終えねーとな!なんせBボーイなこの秋冬。ポロのフーディにシュプリームのデニムにスーパーブーツでキメた俺が風の街をゆくぜ。よけろよけろ、当たるといてーぞ!嘘です。気持ちいいかもよ。ムチムチしてっから。



さてさて。十年一昔とはよく言ったもの最近は十年前着ていたようなベタにBボーイな服装を好む札月。フードはマスト。バックパックはコーデの一部。ベスト命。セットアップは正装。スーパーブーツ。手袋も来るかな。レイバンかけてハンチング。今ならニューエラでもいいけどツバがでかくて浅いキャップがベター。ニットキャップ!バンダナもいい頃かも。俺がバックパックしょったままライブするのが若い子は珍しいらしいけど昔はみんなそうだったぜ。そういう流行だったんだ。



俺もいろんな時期があるねー洋服は。さっき言ったような自分的90年代リバイバルファッションは若い俺には当然買えなかったから二十歳前後の俺はいっつもチャンピオンのスエット。迷彩上下。きったねーティンバー履いてハット被ってウォークマン爆音。ラルフなんか欲しくても手が出なかった。若い時買えなかったものをおっさんになって買い漁るというのは俺世代ではよくあること。昔の俺はまったくお洒落じゃないよ。いつでも毛玉くっつけて歩いてたぜ。



その後ニトロがデビューぐらいからはスニーカーを買うことを覚えて集め始めたね。最初にハマったのはやっぱFORCE 1でさ。白ベースに色付きのスウォッシュのミッドカットのFORCE 1が当時大量にGROW AROUNDにあってさ。そのシリーズは当時よりちょっと前にダンサー界でめちゃくちゃ流行ったシロモンで、みんなポロの1992シリーズを合わせてた。それこそさっき書いた俺の「毛玉な時期」くらいにドンズバでイケてたキックスだったわけ。だからここから始まったんだね、俺の「後から買い」は。お金があるって素晴らスィー。



ニトロはファーストアルバムからNIKEと付き合ってたから当然アパレルも手を出すよね。みんな体の一部にNIKEが入ってた時期だな。ヘアバンも流行ってたしな。メジャーでソロデビューする頃になると徐々に「アーミー・もっさり系」から「スポーティ・清潔系」に移行していき、そこに怒濤のスローバック旋風が訪れるわけだ。スローバックとはざっくり言うと高級なスポーツジャージっつーかユニフォームのことで、選手が試合で使ってるものから復刻ものまで様々。もの凄くカッケーんだがなんせ高い!モノスゲー高い!



半袖のスポーツジャージが六万から十万くらい?ありえねー!冬になってスローバックのスタジャンなんて始まっちゃうと十五万とか?絶句。でも当時買い漁りまくり倒したねー。月にいくらスローバックに使ってたんだろ?恐ろしくて考えたくない。俺と妄走族の565はソートー使ってたね。ホクトとかね。みんなスーパーヒーローみたいな色合いで街歩いてたからまぁ子供たちに見られる見られる!信号機みたいだったもんなぁ。インナーは無地の白T。ICEBERGとかCOOGIなんてヤクザブランドも熱かったねー。ドレスシャツも流行ったっけ。



しばらくしてスローバックブームが終わるとBボーイたちは何を着ていいかわからなくなって街でもがいた。言い過ぎ?俺はもがいたぜ。ある者は白Tにキルティングジャケットといった安くてゲトーな服に走り、またある者はハイブランドを着込みラグジュアリーに走った。俺は?俺は...サイズをダウンした。MABOのアルバムくらいかな?おそらく代官山STADIUMの影響だが最高XXXLまで着ていた俺が突然Lを着だしたわけよ。俺のまわりはザワついたねー。「DABOのダウンサイジング聞いた?」なんつってあたふたしてたぜ。そのくらい意外だったわけでさーね。



この頃から高いデニムブームがやってくるんだなー。みんな五~六万とかする高級なデニムにLサイズのトップスを合わせだした頃。帽子を被らないやつもこの頃から増えたね。俺はちょっとひねったヒップホップなメッセージがあるTシャツなんか着てたかな。そのうちL着てたのがMになって、体の線が出る服を着るのが当たり前になっていった。アイテムはBボーイなんだけどサイズはMっていうバランス。そしてMまでサイズを落とすと今度は今まで着たことないものに手を出したくなって俺のUS離れが始まるわけ。ヨーロッパに興味が出てきたんだよ。まーハイブランド漁りだわな。



そこで青山LWTに通いだして加速度的にタイやシャツにハマっていく。スラックスに革靴にジャケット着てNEWERA被っちゃうみたいな。Bボーイなカッコしなくても俺はBボーイだって思ってたし、逆にアマノジャクなことやって目立ってやろうくらい思ってたね。スニーカーも履かなくなって毎日革靴。たまにスニーカー履いても軽く汚れてるくらいが味、とか昔じゃ考えられないような感覚。俺は俺なりにBボーイというものを離れた所から観察したかったのかもしれない。敢えて反抗期な時期。得たもの全部を一度否定してみるという試み。テーマは「ちゃんと大人ぶる」だった。



そこから一気にぶり返しが来たのが去年の冬くらいかな?冒頭で書いたような90年代コスプレに怒濤のごとくハマる!昔販売で売っていたシュプリームやステューシーなどもにも興味が戻り、襟付きの服からフードへ、スラックスからバギージーンズへ、MからXLへとすべてをリニューアル。そのまま今に至ると。だからちょっと前より俺が痩せたっていう人いるけどそんなに実は変わってないよ。服がでかくなっただけ。最近のテーマは「楽なカッコ」!もしくは「いつでも地べたにすわれるカッコ」。あ、戻った!見事に10年で一周ですわ。



しかし一周目と二周目は違うのだ。中身が違う。俺は34の大の大人で若者にはない経験がある。ゲームを知ってる。ルールを知ってる。というか変わったルールもあれば変わらないルールもあることを知ってる。十年街を眺めてきたがもう十年経てば俺の自信はさらに確固たるものになっていくだろう。俺は俺の目で世間を見回して旅しているのだよ。いつでも旅の途中。だいぶ世の中わかったがまだわからないことだらけ。でも90年代のファッションの着こなし方くらいは知ってるぜ。そこに2009年の気分を振りかけて今日の俺がフードを被ってチルしてるってわけよ。



まぁなんせ好きだぜ洋服は。着飾ることを否定しないタイプのBボーイだよ俺は。ファッションはヒップホップと関係ないって言いたがるBボーイもいるけどそれは絶対違う。ラップやトラックやダンスには関係ないかもしれない。でも「ヒップホップ」っていうでかい括りで話をするならファッションはその一部を担ってるぜ。ファッションに興味ないってBボーイもフード被ってNIKE履くじゃん。Bに見えるカッコしてんじゃんと。でもそれでいいんだよ。お前がBボーイならBボーイに見られたいんじゃね?お前をお前として認識してほしいべ。服なんてそんなもんでしょ。外身を中身に近づける努力よ。



とは言え俺も最近めっきり服買わないんだよねー。それどころじゃねんだわ。やることいっぱいであんまし興味が沸かんのよねー。という近況を実は表現してんのかな、無意識に?まぁ人間中身が肝心なんてのは当たり前の話だけど今は中身を磨くことばっか考えてしまう時期でして。まあたまにラルフとシュプリーム買えればいいかなってくらいで後は頂けるものでまかなっとります。大丈夫、俺はなに着てもダサくはならねーから。俺がヒップホップだし俺がファッションだから。素っ裸でもラップしたら負けねーよ。モノでも負けねーし!下ネタかよ!ハイ、そんな札月のふぁっそん通信でした。まる。