濱口監督は『ドライブマイカー』でナントカという大層な賞を取ってから
日本でもかなり名を知られることになった。
そのせいか、この『悪は存在しない』も、
大いに注目されているらしく、
私が今日見に行った回は客席は6~7割は埋まってた。
濱口監督の作品に関しては、
『ドライブマイカー』は感心したし、
それ以前から『寝ても覚めても』は好きな作品だったし、
『偶然と想像』や『パッション』を見た時は、
こんな映画があるのか、といたく興奮したことを覚えている。
(『偶然と想像』『パッション』は、
もう一回見たいのだが、今のところ配信などもされていないようだ)。
濱口監督の映画は、ゆったりしていて、時にとぼけたユーモアがありながら、
恐ろしいほどのシャープを感じさせもする。
この辺りは小津安二郎に通じるところもある。
さて、前置きはこれくらいにして、
『悪は存在しない』だが、
期待以上に素晴らしい映画だった。
何気ないシーンの一つ一つに
何とも言えない魅力がある。
ストーリーはゆったりと展開していくが、
いつの間にか見る者をとても繊細な場所に連れていく。
私はゴールデンウィーク中に
『オッペンハイマー』『夜明けのすべて』『悪は存在しない』の
3作を見たが、『オッペンハイマー』よりも
『夜明けのすべて』『悪は存在しない』の方がずっと好きだし、
映画らしい映画だと思う。