駄話 No.1752 安い酒は翌日に残るのか? | 役に立たない駄話 ブログ版

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 20年前の格安の居酒屋チェーンなどでは、100円で1合とっくりがいただける店も多かった。最近は、そこまでの安酒はなくなったが、新橋のガード下などでは2000円もあれば、十分に楽しめる店も多い。


 そんな店のカウンターに腰をすえながら、酒飲みたちは、「安酒は明日に残るからなぁ」というセリフを自嘲気味にもらす。これは、何十年も前から通用してきた酒飲みたちの「常識」だ。


 しかしながら、安酒なるものに、特別に二日酔いを引き起こす成分が含まれているわけではない。では、どうして、そのような「常識」がまかり通ってしまったのだろうか?


 この説の発祥は、終戦直後の一億総貧困時代にあるものと思われる。


 その時代の酒飲みたちは、闇市の飲み屋でだされる「カストリ」「バクダン」といった激安の酒を飲んでいた。「カストリ」は、サツマイモや雑穀を使った密造焼酎。雑多な混ぜ物のせいで、飲むほどに気分が悪くなるという効果があったようだ。ろくな仕事もなく、明日が見えないというヤケクソ気分で酒をあおった人々には、気分が悪くなるくらいが、ほどよい自虐的快感だったのかもしれない。


 いっぽうの「バクダン」は、ホルマリン、塗料、油脂の原料となるメチルアルコールで作られていた。メチルアルコールは明らかに有毒で、酒量によっては失明あるいは死亡をもたらす。当時の人々は、メチルアルコールを揮発させることによって、その毒性を抜いていた。だが、十分に毒性の抜かれていない「バクダン」が、あわれな犠牲者を生むことも、しばしばあったようだ。


 そうした戦後派の原体験が語り継がれて、「安酒を飲むと翌日に残る」という説に変わったのだろう。