東京駅といえば、メガロポリス東京の表玄関。これは、国鉄の時代から変わらない。その東京駅そのものが、差し押さえになるという珍事件が起きた。
昭和9年のこと。東京区裁判所の執達吏と弁護士が、債権執行命令書をもって東京駅に乗り込んできた。
東京駅は5年前に高架線敷地をめぐる買収価格のことで、地主と裁判を起こしていた。そして、その判決がこの年の10月9日にくだり、鉄道省側は8555円50銭を支払うことになった。
それを確保するために弁護士達がやってきたのだが、駅長は事情がのみこめない。押し問答の末、2人はいきなり出札所の売上金1200円余りを差し押さえてしまった。
さあ、駅はパニック。野次馬まで集まり、大変な騒ぎになった。列車の発車時間が近づいても、差し押さえのために切符を売ることも、金の計算をすることも出来なかったからだ。
鉄道省から法規課長がかけつけてきて、その債権が支払延期手続き中であることを説明して、やっと差し押さえは逃れたが、大損害になるところだった。
なぜなら、当時の東京駅の1日の売り上げは、債権の約5倍の4万円という大金だったから・・・