Christian Rizzo, <i>D'après une histoire vraie</i>

 

与野本町・さいたま芸術劇場(大ホール)。

コンセプト・振付・舞台美術・衣裳デザイン/クリスチャン・リゾー(Christian Rizzo)、出演/ユネス・アブラクル(Youness Aboulakoul)、ファビアン・アルマキエヴィッチ(Fabien Almakiewicz)、ヤイル・バレリ(Yaïr Barelli)、マッシモ・フスコ(Massimo Fusco)、ペップ・ガリゲス(Pep Garrigues)、ケレム・ゲレベック(Kerem Gelebek)、フィリペ・ロウレンソ(Filipe Lourenço)、ロベルト・マルティネス(Roberto Martínez)、ドラム/ディディエ・アンバクト(Didier Ambact)&キングQ4(King Q4)

ツイン・ドラムによる規則性のはっきりしたビート、反復性のある振付や民俗舞踊風のフォーメーション、そしてジャドソン的に脱力した体。こうした、一見したところ混沌と無秩序を孕んでいそうな素材を、あくまで滑らかに洗練された形に整え、緻密に演じる。いわゆる「コンテンポラリーダンス」の作例というか、むしろ端的に「バレエ」だと思った。

日本大通り・神奈川芸術劇場(ホール内特設会場)。
構成・演出・振付/山田うん、構成・演出・コンセプト/池上高志、ダンス/川合ロン、飯森沙百合、黒田勇、猪俣グレイ玲奈、リエル・フィバック、ピアノ/高橋悠治、サウンド・エレクトロニクス/土井樹、VR・ドローン・デバイス設計開発/Alternative Machine
舞台中央奥の五本のチューブが16bitの記憶装置として音を記憶するらしく、ススキを模したオブジェが林立しており、ドローンの群れが飛ぶのだが、何がどう作動したり影響し合ったりしているのか全く見当も付かず、全体として何をやっているのかほとんど何もわからなかった。冒頭で池上高志と山田うんがホワイトボードで色々と説明するくだりは潔く、いわゆる「作品」とは違うものが見れるのかなとちょっと前のめりになったが、本編は結局あくまでも「作品」すなわち「見ればわかる」はずの審美的な対象として仕立てられており、そうした見かけにこだわることが本当に重要なのだろうかと思った。
1. 天羽夏月、2. 箱館エリィ、3. くるる、4. 恋沼あお、5. 春野いちじく
春野いちじく⇒『デビュー作』『Halloween』『はんなり和食と酒処おじく』
1. 浜崎るり、(2. 神崎雪乃、)3. 桜華璃空、4. るあん、5. 浅葱アゲハ、6. ささきさち
ささきさち⇒『ホーム』『ハミングバード』『君と…』
1. 黒城レイ、2. 小糖こはく、3. 大見はるか、4. 木葉ちひろ、5. 花井しずく、6. 翼裕香、7. 篠明愛莉(、8. 白鳥すわん)
翼裕香⇒新作

三軒茶屋・シアタートラム。
振付・出演/山崎広太、振付補佐/アニータ・フンジカー(Anita Hunziker)、出演/セシリア・ウィルコクス(Cecilia Wilcox)、ベロニカ・チャング・リュー(Veronica ChengEn Lyu)、松田ジャマイマ(Jemima Matsuda)、松田憧祈(Airu Matsuda)、リーバイ・シャオシ(Levi Siaosi)
たぶん典型的な山崎広太のスタイルなのだと思われるのだけど、ほとんど入っていけなかった。無秩序で予測不能でありながら、一つ一つの動きや出来事にニュアンスが稀薄で、驚きや意外性を感じず、味がしない。おそらく踊り手が振付の外形だけマスターしてしまって、細部の面白味をつかんでいないということではないか。ここからあと30回くらい通したら一人一人が変化して、もう少し踊りが立ち上がってくるのかなと思った。

(LA)HORDE × Rone with the Ballet national de Marseille, Room with a View

KYOTO EXPERIMENT

京都・ロームシアター京都(サウスホール)。
アーティスティックコンセプト/ローン、(ラ)オルド、音楽/ローン、演出・振付/(ラ)オルド、出演/マルセイユ国立バレエ団
開場すると巨大な採石場のセット、DJとその脇で踊るダンサー。DJがこれ見よがしにビールを飲んでいるので嫌な予感がしたが、全体として「社会」とか「人々」を説明的に描写するような作りで、高尚でお金のかかったバレエに軸足を置きながら露悪的な身振りや荒々しいアクション(しかも舞踊的な必然性は弱くもっぱら演劇的な動機による展開が露呈している)で何かを訴えようとしているのが表層的で辛いものがあった(途中退出)。
Alessandro Sciarroni, Save the Last Dance for Me

KYOTO EXPERIMENT

京都芸術センター(講堂)。
創案(Invention)/アレッサンドロ・シャッローニ、出演/ジャンマリア・ボルジッロ(Gianmaria Borzillo)、ジョバンフランチェスコ・ジャンニーニ(Giovanfrancesco Giannini)、アーティスティック・コラボレーション/ジャンカルロ・スタニ(Giancarlo Stagni)
ボローニャで20世紀前半に踊られていたポルカ・キナータ(polka chinata)というダンススタイルを研究者が1960年代の記録映像から起こし、振付家とダンサーで作品化したとのこと。微妙に古めかしいが明らかに当時のものではないエレクトロニカを使用し、正方形の線に沿うようにして延々とデュエットを踊り続ける。高速スピンなどの技巧に加え、徐々に踊り手同士の笑顔やアイコンタクトなどが目についてくる。20分ほどで終了。元のポルカ・キナータがどんなものかを知らずに見て、何がどうアレンジされているのかもわからず、終始モヤモヤした。アンコールとして元のポルカ・キナータと思しきものが短く踊られた。こちらは曲のリズムが跳ねていて、ダンサーの体もスイングして、踊りとしては明らかにこちらの方が良かった。
1. 花森沙知、2. 工藤リナ、3. 萩尾のばら、4. 青山ゆい、5. 川越ゆい、6. 春野いちじく
春野いちじく⇒『サマーポップ』『ウォーボリウム』