ダジャレ大国ニッポン(仮) -2ページ目

ダジャレ大国ニッポン(仮)

ダジャレの向こう側へ…


布団が、吹っ飛んだ。

「うそ、、!!」

ヒデ子は愕然として
6階のベランダから慌てて下を見た。

やっぱりだ。
黒いアスファルトにむかって
ヒデ子の布団が急降下している。

やだ、やめて!時間を止めて!

その祈りも虚しく



どっべ~っっん‼‼



凄まじい
そして変な音を立てて
布団が地面に叩きつけられた。

ああ、どうしよう。

ヒデ子は部屋に戻り
悩んだ。

拾いにいくべきか、捨てるべきか。

思ったより
落下音が変な音だったことを
少し引きずりながら考えた。

大手企業のやり手秘書。
美人で都会派
持ち物はグッチやクロエ。
おしゃれな高見沢さんで通っている
この私が、あんな布団を使っているなんて。。

ファンシーな
羊の絵がいっぱいついてある絵柄。

野球をしたり、料理をしたり
エアロビをしたり
羊がこれでもかというくらい活躍している。

おまけに
seep&sleepというロゴも
景気良く沢山入っている。

更に気が遠くなるが
カレーのようなシミも
何カ所かあり
何かに見えないこともない。

穴が飽いた部分には
使い道に困った
友人がホスト風の彼氏と抱き合って写っているプリクラを貼って補強している。


そんな布団を干してしまった
自分を呪った。

迂闊だった。。

まさか、、北風がふくなんて!

見事に吹っ飛んだ布団、、
どうする?どうする?

ヒデ子は悩んだ。

マンションの住人に知られたくない。

ヒデ子という名前だって
伏せているのに!!

もう一度、ベランダから下を見た。


地面に横たわっている布団。


その時、頭の中に
昔の思い出が駆け巡ってきた。

小学生のときに
あの布団は私の元にやってきた。

近所の布団屋さんが
母に頼まれもってきてくれた。

可愛い羊を一目で気に入り
20年のつきあいだ。

軽音部のギターの神
とおる先輩にふられたときも

プライドを捨てて
ま、ここでいいかで受けた
喫茶店ぱんぷきんのバイトに
落ちた時も

パーマを失敗されて
読売ヴェルディーの北沢みたいに
なった時も

あの布団の上で泣いたっけ。


ええい!ママよ!


ヒデ子は走った。
エレベーターではなく
気分的なもので階段を使った。

あの布団は、私の布団よ。
ださいけど、愛しい最高の布団!
言い方をかえれば
ビンデージじゃないのよ!!

強いて言えばあの、
みっこ 星矢 ず~っと一緒♡
のプリクラだけは
振りかぶってむしり取ってやろう。

そしてちゃんと
ピンクの糸で縫ってあげよう。


無事に布団を救出し
ヒデ子は清々しく
なにか抜けた気がした。

そして
起きたてボっサボサの頭で
胸をはって管理人さんに挨拶をした。

「おはようございます。
高見沢ヒデ子です!布団が吹っ飛んじゃった!」















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