なぜか不意に思い出した作品があります。

ドラえもん を 描いた 藤子・F・不二雄 さんの漫画とは思えないほど後味が悪くて、恐くて、当時は衝撃的だったな。

今なら少しわかります。


佐々木希ちゃん&ヨンアちゃん&少女時代ユナちゃん&宮崎あおいちゃんの美しい画像で和らげながらのご紹介です。
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【カンビュセスの籤】


荒野を放浪していた古代ペルシアの兵士サルクは、奇妙な建物に着く。


自動機械と未来的な住居の中には、少女エステルが独り暮らしていた。

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互いに言葉は通じないが、衰弱したサルクを介護するエステル。食事はキューブ状の肉塊(ミートキューブ)が毎食一個のみ。

やがて回復したサルクは食料を持って去ろうとするが、エステルはなぜかそれを拒み、彼を拘束する。

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腹を立てるサルクだが、振る舞いの端々に深い孤独を感じさせるエステルと暮らすうち
サルクとエステルは、言葉も通じぬまま絆を深めていく。


そしてある日、ついにエステルは
自動翻訳機の修理を成功させ、二人は互いのことを語り始めた。

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ペルシア王カンビュセスの軍勢は、エチオピア遠征中に砂漠で食料が尽き
十人一組でくじを引き、当たった一人を残りの九人が殺して食べるという行為に手を染めた。

サルクもくじに当たり、食べられるのを恐れて逃げるうちに不思議な霧を抜け、ここへたどり着いたのであった。

「ここがどこであっても地獄を逃れられたことに感謝」

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エステルは「地獄を逃れて別な地獄へ飛び込んじゃったわけね」と言い、己の身の上を語る。

ここは23万年後の未来、核戦争で地上の全生命が失われた地球。
核シェルターに逃れた人々は、人工冬眠で1万年後…放射能の消えた時代に目覚めたが草一つない世界では自給も不可能。

人々は一縷の望みを掛け、地球外文明へのSOSを発信した。

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だが、冬眠して救いを待とうにも、人工冬眠は一万年が限度、しかも冬眠前には食事で精をつけねばならぬ。
そこで彼らは、クジを引いて当たった者を自動調理器で食肉(ミートキューブ)にし、食べることで生き続けていたのだ。

最初にミートキューブになったのはエステルのお父さんだった。

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エステルはくじ引きの果ての最後の一人。彼女は、サルクもくじを引いて次の一万年に貢献するよう求める。

恐れるサルクに、自分たちは地球全生命の代表として生き延びる責任があると静かに説くエステル。

「お願い。一人でいいの。私たちは種を残さなくてはならない理由があるの」

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一度はくじを引きながら結果を見ずに投げ捨て、去ろうとするサルクだが、やがて彼はエステルの元に帰還した。

食べられる覚悟を決めたサルクだが、エステルは笑って「あなたのクジは外れだった。食べられるのは私」と答える。
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「クジ引きは絶対」

驚くサルクだが、サルクの出現は計画が成功する証だろうと、恐れる様子もなく語るエステル。

「私を食べるのがあなたで良かったわ。いくら覚悟していても、嫌いな人の血や肉になるのはいやですもの」

エステルが厨房で服を脱ぎながら、自動調理器でのミートキューブの作り方を指示するシーンで物語は終わる。

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