NECさんのCMコンテストの審査員に、押井守さんがいたので、受賞できなかった悔しさと共にどんなものを作るのか興味があったので、「キルドレ」を見てきました。
まず第一の印象として、アニメーションがとにかくよく動きます。
それも人物の細かい仕草一つ一つを丁寧に描いています。
そして、絵柄や演出、間などから、独特の涼やかでメランコリックな雰囲気を醸し出すことに成功しています。
また、この作品では3DCGと2Dアニメーションの合成にチャレンジしていますが、少し違和感はあったものの、馴染んでいたと思います。
でも正直、全て2Dでも良かったと思います。なんか、同じシーンの3DCGが出てくると、ちょっと残念な印象を受けました。
また、戦闘機から見る崖のシーンは、実写に近い雰囲気のCGで違和感があり、あったかいアニメーションのほうが、安心して見れて良かったのではないかと思いました。
ここから物語の感想です。
架空の戦争を仕事としてこなす、大人になれないキルドレ達。
主人公は「大人になれないのではなく、ならないんだよ。」と劇中に語ります。
しかし、劇中の登場人物たちの話を総合すると、やはり遺伝子的に「なれない」のだと思います。
最強の戦闘機乗り、ティーチャー。その男は、スイトと元同僚だった。
そして、彼はキルドレではなく、成長する普通の人間だった。
本来、産むはずのない子供を産んだスイト。元同僚のキルドレでないティーチャー。
このあたりで、スイトの子供は、ティーチャーとの子供なのか?という謎が出てきます。
そして、カンナミの前パイロット、ジンロウの死は、スイトが殺したと言っていましたが、本当にその言葉通り「繰り返す人生に絶望し」殺したのか、それとも「ティーチャーを迎撃するようにジンロウに指令を下したスイトがその後悔として」自分が殺したのだと言ったのか。このあたりも謎です。
キルドレについての三ツ矢の仮説を鵜飲みにすると、遺伝子バンクのようなものから、キルドレは作られ、キルドレが死ぬと死んだ人物と同じ遺伝子、戦闘経験を持ったキルドレが、すでに成長した体を持って生み出されていると解釈ができた。(もしくは体を作り、そのあと死んだキルドレの戦闘経験や遺伝子を移植)。強くてニューゲームみたいなもんか。
最後のシーン、カンナミは絶対に勝てない敵、ティーチャーを倒しに、運命を変えに出撃し、迎撃されます。このとき、カンナミは「Kill my father!」と言ったように聞こえました。日本語字幕は普通に「倒す!」みたいなかんじでしたが。
ティーチャーがカンナミの父親?戦争請負会社の社員=父親(つまりカンナミたちを生み出した)という意味で?うーん謎。
この戦争は、どこかで戦争をしているという事実を人々に与え、戦争の悲惨さを常に感じるための「絶対に終わってはいけない戦争」で、終わってはいけないがために、絶対に倒せない敵「ティーチャー」が存在するわけだが、相手陣営に「絶対に倒せない敵」がいるのであれば、こちらの陣営にも「絶対に倒せない人物」がいるはずでは?と思った。
しかし劇中ではそういった人物は語られず。
終わり方があまりに何も解決しないまま終わったので、納得いかなかったので最後まで見ていると、ありました。スタッフロール後。
撃墜されたカンナミの遺伝子と戦闘経験を持った男がスイトの基地に配属され、ここで真のエンド。
うーん、結局色々な謎を残したまま終わってしまった。
でもこの作品の原作は、続編があるのですね。それで納得しました。
全体として、絵に好感が持て、話の内容はポニョよりも面白かったです。眠たくなりませんでしたし。
ちなみに、キルドレは子供という設定ですが、普通にお酒は飲むし、タバコも吸うし、女性もお金で買ってセックスしています。
大人と子供の境界線って、どこにあるんでしょうかね。
そういったことも考えさせられる映画でした。