久しぶりに本の話です。

私は子供の頃から本が好きで、学生の頃は年に100冊くらい読んでいました。
ジャンルもあえて問わず、フィクション、ノンフィクション、純文学問わず。

最近では気分転換程度に軽いものしか読まないのがあまりブログに書かない理由なんですが数年に一度、本当に面白いのに出くわします。
あまり感動すると書きたくなっちゃいますよね。

話は変わりまして、私は大学は美大だったのですがそれは純粋に絵画が好きだったからです。絵で食える訳でもないからデザイン学科っていうのが半端なとこで。

そしてヨーロッパの美術館と建物を巡りたくて、大学の講義を無欠席とする条件を自分に課したうえで死ぬほどアルバイトした金で、ある夏一人で2ヶ月間ヨーロッパを旅しました。一人な理由はもちろん、絵を見るのに他人など邪魔だからです。

大きくて有名な美術館はもちろんですが一人のアーティストだけ展示してるこじんまりした美術館がことの他好きで(その人の世界観に浸れるから。)物凄い強行軍で移動を続け、ついにはギリシャで過労で倒れたりしながら。(笑)

パリのモローやパリとバルセロナのピカソとか、トレドのグレコやフィゲラスのダリなどなど。
社会に出たら、もう二度とそんな時間は持てないと思って行った訳ですが、今にして思えばあれが私の青春だったのでしょう。

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ご自身もキュレーターだった作者が書いた、原田マハさんの楽園のカンヴァス。

一応はミステリーというカテゴリーなので多くを書くのは野暮ってものですが、その内容は大コレクターに依頼されたキュレーターと研究者がルソーの新発見の作品の真贋を鑑定する。
その手がかりは作者不詳の一冊の古い本のみ。という話です。

物語は現在の倉敷/ニューヨークと、鑑定を行った1983年のバーゼルと、古い本の中の1908年のパリを行き来します。

じつは私には謎などどうでも良くなりました。身も蓋もない話ですが。
ただもう、絵画に対するコレクターの断ち難い執着、キュレーターや研究者の情熱、ルソーやピカソたちの創作にかける想いを描くこの作者の瑞々しい表現力に涙です。

そう書くと一体何に感動しているのか分からなくなりますが。
一生をかけて何かに情熱を傾け続ける事が出来るという事こそが天賦の才なのだと思いました。

《夢を見た》は作中に出てくる作品の名前です。
この作品自体が夢のようにロマンティックな物語です。

ただし。ミステリーが好きでも、絵画に興味がなかったら多分面白くもなんともありませんのでご注意を。