昨日は深夜二時過ぎに帰宅。
別にお客さんに付き合ってたわけじゃなくて、親方に付き合ってました。
昨日、及川くんのお母さんが乗り込んできたからね。
お店で発狂して、親方自身もげっそりしてた。
もう本当に親方が刺されるんじゃないかと思って。
怖かった。
親方も「死ぬときは言えよ、おれが先に死ぬから。」なんて言ってるし、うちのお店本当にどうなっちゃうんだろう。
及川くんの友達とかも絡んでくるし、お姉さんもいつか誰か乗りこんでくるんじゃないかって怖がってる。
そんな中、私は違う恐怖心がひとつあるんだ。
私、変なもの見ちゃう体質あるから。
別に及川くん見たわけじゃないけど、もう仕事しててわかる。
変なことが起きっぱなし。
グラスを入れといたかごがいきなりひっくり返ってグラスが何個も割れるし、足音が聞こえたり、一人で店にいると部屋のふすまが開く音がしたり、誰もいないのにタバコの匂いがしてくる。
私だけじゃなくて、みんな感じる。
やだねーそういうの。
あっちの店もしお姉さんが手伝ってくれなかったら、私に任せようかと思ってたんだって。
いきなり店長かよ、ってね。
でも地元にもう一つお店出すみたいで、そしたら私が今のお店でやって、手が空いたらそっちにもいけるような切り札にしたいって言われた。
親方はいつも「ここに入ってきた子は、社会に出しても恥ずかしくないくらいに育ててやりたい。そうなるまで残るのは本当に一握りだけど、そうなった子は絶対に忘れない。」って言う。
私は最初の一年とか本当に親方の眼中にも入ってなかったから、名前とかも呼ばれなかったし、だから自分は必要ない人間なのかなぁとか思ってた。
それがいま一番上になって、昨日初めて親方の本音聞いた。
「シフトを作るとき、とにかく及川さん中心に回せって言ってるし、やっぱり信頼してるからね。俺はもう及川さんは社会に出しても絶対通用すると思うし、だから及川さん辞めたときのことを最近考える。」
って言われた。
お姉さんとは、おばさんたちの口応えについて盛り上がった。
ホント、おばさんたちの指導って大変だよ。
もうどうしようかなぁって考えるもん。
なにか指示すると「でも」って始まるから大変。
昨日親方とお姉さんと三人で飲んでて、お姉さんとその話で意気投合したから二人で今度飲みに行こうって誘われた(笑)
まぁ今はお店自体もシビアな状態だけど、やっぱり自分が頑張らんとって思ったよね。
及川くんのお母さんが乗り込んでくる理由も分からないでもないし、やっぱり親方の言う通り誰かのせいにしなきゃ気が済まないんだと思う。
私だってそうだった。
結稀が死んだとき、誰かのせいにしないと、その死の理由が誰かの責任でないと気が済まなかった。
だからそういう面で及川くんのお母さんの気持ちは痛いくらいわかるから涙が出た。
ただやっぱり私にとってはずっと守ってきたお店や親方のほうが大切だから、許せない部分はある。
死人に口なしっていうのはこういうことなんだよね。
だからずるいって思っちゃう私もずるいのかな。
私もしっかりしなきゃね。