今回は神道の本を読みました。

(※ちなみに私は無宗教です。)


著者の葉室頼昭さんはとてもユニークなご経歴をお待ちで、なんと、外科医から春日大社の宮司になられた方なのです!


医学×神道


この意外な組み合わせにワクワクします。


実は20歳頃に本書を読んだことがありまして、実に16年ぶりの再読となりました。




葉室さんは大阪大学医学部をご卒業後、医学博士、そして外科医をされていたことから、ゴリゴリの理系です。

そのため、本書内でも科学的なお話が散りばめられています。

たとえば、水、発酵、日本列島の成り立ちなどが科学的に、そして神道的な観点から述べられています。

本書の冒頭は「宇宙の歴史」からはじまります。

宇宙は今から150億年前のビックバンによって生まれました。

では、そのビックバン以前の世界には何があったのか?

何かが爆発するには、それが起こる世界が存在しなければなりません。

宇宙より前の世界。

葉室さんはそれを「0(ゼロ)の世界」と呼び、そこは神さまの①無限の知恵、②エネルギー、③目的で満ち溢れた世界だったそうです。

そこからビックバンが起き、最初に現れたのが中性子(ムスビの働き)です。

次に現れたのがクォーク(波動)です。

中性子がこのクォークをいろいろ結びつけて宇宙に存在する無数のものを造り上げたのです。

次に素粒子が生まれ、それが中間子(ムスビの力)の働きによって結ばれることで原子(モノ)になったのです。

ここが興味深いのですが、この科学的な話を千数百年前の日本人は知っていたのです。

それが記されているのが『古事記』

古事記の最初にある 

「天地の初発の時、高天原に成りませる神の名は、

天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)

次に高御産巣日神(たかみむすびのかみ)

次に神御産巣日神(かみむすびのかみ)。

此の三柱の神は、皆独神に成り坐して、身を隠したまひき」

つまり、

ゼロの世界=高天原

その高天原に無限の知恵とエネルギーを持つ天之御中主神が成っていらっしゃると。

次に現れたのが中性子(ムスビの働き)で、これは働きでありますので見えません

その様子が「身を隠したまひき」と表現されています。

高天原も大和ことばの「たか・まか・はら」に漢字を当てはめたものであるため、本当の意味を知るためには大和ことばで解釈する必要があるのです。

・「たか」と「まか」
「まかふしぎ」という時に使う言葉で、あまりの不思議さに感動した時に使う言葉。

・「は」
生まれるという意味。

・「ら」
「等」すなわち、「たくさん」という意味。

つまり、ゼロの世界たる高天原(たかまかはら)は、「たくさんの命が生まれるところ」という意味になるのです。

これは面白い視点です。

なぜ、このようなことを日本人の祖先は知っていたのか、とても興味深いです。

ゴリゴリの理系の葉室頼昭さんと神道とのムスビの働きもなかなか素晴らしいものですニコニコ

この大和ことばを当てはめると本当の意味がわかる繋がりで言いますと、もう一つ面白い話がありました。

それは

「中庸(ちゅうよう)」

です。

昔から「中庸のあらわれるを徳という」と言われています。

ではこの中庸とはどんな状態か。

これも大和ことばにして考えます。

「ち・ゆ・よう」

・「ち」
知恵

・「ゆう」
結納の「結(ゆう)」や昼と夜を結ぶ「夕(ゆう)」つまり、ムスビの働き

・「よう」
ありさま

つまり、中庸(ちゅうよう)とは、「神の知恵がムスビの働きで現れるありさま」ということです。

昼と夜、陰と陽がムスビの働きで調和しながら繋がる明け方や夕方は心を打つ美しさです。

すべてのものが調和する多様性のバランスこそ、徳(うつくしさ)です。

16年ぶりに読んでみると、自分自身の経験値と理解力が増しているせいか、とても身に染みる思いがしました。 

まさに〈はだ〉で知ることができました。