今話題沸騰中の本を読みました。


経済評論家の森永卓郎さんの

『ザイム真理教』


財務省を教祖とする信者8,000万人のカルト教団「ザイム真理教」


この「ザイム真理教」には教義があります。


それは


「財政均衡主義」


いわゆる「プライマリーバランスの黒字化」というものです。


これはつまり、

①歳出は税収の範囲でまかなう

②国債残高を減らしていく

③国債の信認を保つ


そして、

④増大する社会保障費はあらゆる世代が公平に分かち合うために消費税を上げる


確かにこれだけ聞くとまともな教えに聞こえます。


教祖は教義を広めるために恐怖で国民を煽ります。


「日本の国債残高は1,000兆円あり、国民一人当たり800万円の借金を抱えているのです!」


こんなこと言われたら国民は不安になりますよ。


だけれども、この「国債残高1,000兆円」は貸借対照表の負債の部にのみフォーカスを当てた見方ですよ。


貸借対照表の貸方だけを見るバカがどこにいますか?


バランスシートですよ。


貸方があれば、借方もあります。


肝心なことは借方の資産から貸方の負債を引いた「資産負債差額」(会計学でいう「純資産」)。


日本政府は負債も多いが、一方でたくさんの優良な資産を保有しています。


現預金、有価証券、土地、建物などの資産1,121兆円を保有しています。


負債は国債残高を含めて総額1,661兆円なので、資産負債差額は▲540兆円(資産1,221−負債1,161)


日本のGDPは概ね500兆円ほどなので、資産負債差額の対GDP比は


540÷500=102%


これは先進国ではごく普通の水準です。


そして、意外だったのが、ここにさらに「通貨発行益」という利益532兆円が加わるのことでした。


そうすると日本の資産負債差額は


▲540兆円+532兆円=▲8兆円


純粋な負債はわずか8兆円にすぎないのです。


この「通貨発行益」については、本書で初めて知りました。


僕の理解を図にまとめてみました。


①政府が国債を発行


②日銀が国債という資産を買って、その対価として日本銀行券を発行(これを「信用創造」という)


③政府は国債保有者の日銀へ利息支払い


④日銀が政府から受け取った受取利息は、ごく僅かな日銀の経費を差し引いて、政府へ戻す(国庫納付金)。


森永さんはこの④を「通貨発行益」と定義しています。


④通貨発行益については、自民党参議院議員の西田昌司さんも財政金融委員会で言及されています(下記YouTube動画25:10〜25:34のところ)下差し


また、国債の元本部分は満期が来るたびに借り換えて、日銀が保有し続ければ、日本政府は元本を返済する必要はなくなる。


そして、支払利息は上記④のように国庫納付金として返ってくる。


増税して国民に塗炭の苦しみを味合わせるくらいならば、国債を発行して、信用創造しなさいよということです。


これに対して、ザイム真理教信者


「財政赤字がこれ以上拡大したら、国債が暴落し、凄まじいハイパーインフレが国民を襲う」


と反論します。


しかし、この反論の間違いを「コロナ×アベノミクス」が証明しました。


2020年、新型コロナウイルス感染症の拡大で莫大な予算で対策を講じたことでプライマリーバランスは80兆円の赤字が生じ、国債発行額も109兆円も生じたが、


国債は暴落したか?


ハイパーインフレが起きたか?


全く起きませんでした。


彼らの恐れは杞憂だったのです。


それなのに財務省は頑なに「財政均衡主義」という教義に固執しています。


大手マスメディアも教祖のスポークスマンに成り下がっています。


僕が普段購読している日経新聞もザイム真理教の信者であるため、何かにつけて「プライマリーバランスの黒字化」を社説にしています。


だから、僕は日経新聞の政治面はあえて読まないようにしています。


企業業績や株価、AIなどのテクノロジー分野だけを読むようにしています。


さて、プライマリーバランスを黒字化するっているのは、どういうことですか。


歳出を抑えて、歳入を大きくすることです。


国債残高を減らしながら歳入を増やすとなると、それは増税ですよ。


森永さんによると、財務省がここに血眼になるのは、財務省の出世の基準が増税にあるからだそうです。


財務省では増税を「勝ち」、減税を「負け」というそうです。


この財務省内の評価基準を変えないといけないです。


さらに、財務省は彼らにとって気に入らない組織や人物には税務調査を入れることができる。


この最強の親衛隊「国税庁」を財務省から分離させることも必要でしょう。


そして現在、岸田首相はザイム真理教の教義に則って、歳出削減と増税に奔走しています。


2010年に37.2%だった国民負担率も2022年には47.5%と「五公五民」状態。


ザイム真理教が渦巻くこの日本において、我々にできることはなにか。


①自分や家族の暮らしを守るためにも、情報感度を上げて、より多くの情報を収集して少しでも節税をする。


②選挙で「財務省にものを言える候補者」に一票を投じる。


③経済学を学ぶ


これくらいですかね。


森永卓郎さんの『ザイム真理教』と併せて、先に紹介した自民党参議院議員の西田昌司さんのYouTubeチャンネルも見ると、日本が採るべき財政政策が明らかになります。