ある日のこと。
思い返せば、自我が強くなりだした頃だったか。
“自分は、本当はこういう人間なの!”
という主張は、
いつも心の中に閉まっていた。
身を守る為だった。
この視界の話しもそうだし、
いつも読んでいたファッション雑誌や、
新聞から切り取っていたカラー広告の
車や時計、タバコのデザイン。
わたしのクラスメイトには、似た感覚を持つ子は
一人も居なかった。
最先端の孤独で磨かれたのは、
心の中の、夢に向かう柱だった。
太い丸太の樹木は、
いつしか台の上に寝かされていた。
◇