ある日のこと。

 

 階段から出てきて暫くその場に

              立っていた彼が、

 プールに入っていくときのように、

        両手を上で合わせたので、

                 迷わず制止した。

  「わたしね、あなたのこと、名前で呼んでみたいの」


その甲斐はあったのか

  彼は驚いたような、クリンとした目で

              わたしを覗き込んできた。



素朴な青年である彼の表情はステキだった。

  『そうれはいいね。』

        と

      うれしそうに、照れてた。

 

 

         ◇