ある日のこと。


 自宅で過ごす日曜日。

 赤い、郵便屋の制服(コートジャケット)を脱いだ彼の

 穏やかな人柄に触れては、静かな人って、いいな。

                        と

                      思った。 
       

 光りや自然、祖父の残した本棚のあたりで浮かべる

 暖かな感情が走る表情を視ると、

 他の家族には視えていないかもしれない、

 事実がどうでもよくなった。


いつしか、

  “名前を呼んでみたい”

        と

       思った。
  

        

     ◇