あの日のこと。


 


 なまえをきけば、よかったと


            後悔したわたしは


ジョン・テニエルの挿絵が詰まった
分厚い緑の本から


『不思議の国のアリス』



『鏡の国のアリス』等を

  を


読みふけった。




 この英文から出てこないかな?


  私も入れるのかな?


    と、


英文を指でなでた。







当時幼いわたしが、


 好きで手にとる本は、
その分厚い本だけだった。




  私も本の中に入りたい。




  旅をしたい。遊びに行きたい。


 ひとりでいることを、わすれたい。





楽しいことを知りたい。楽しい感情を覚えたい。


楽しいが何かに出会いたい。


新しいことは良いことだという気づきを手に入れたい。





などと、思っては


本と一緒に昼寝をした。





 ◇