ある日のこと。

夕方すぎた夜おそく、
学園内では真っ暗で、

中高年の竹藪がかく
鼾の中 帰るのは、
なかなか不安だった。

足がすくむ井戸の近くを横切るさいは
"お願い!何も呼ばないで"

強く念じて
気を張った。

坂道の間中。
落ちている 雨にぬれた
木の実が
追ってくる。

マツボックリ の長老が、
『お嬢さんや、お嬢さん。
ワシを拾って持ち帰り、
話し相手にしておくんなされ。』