①東京電力は福島原発事故処理の工程表を発表した。
世論やマスコミ、政府等の要請を受けてのものと考えられる。
一見詳細に見えるが、この工程表はほとんど意味がないと思われる。
なぜなら最も重要な火元である核燃料の損傷がどのような状態かが把握されていないからである。
量的に70パーセントから30パーセントが破損していることは分かったが、その破損のしかたが把握できていない。
解け落ちて圧力容器内の底にたまっているのか、圧力容器の底を破って格納容器内にまで出ているのか。(推測は出ている)
更にそれら解け落ちた燃料棒の一部は全体として安定的に冷却されているのか、高温部分があるのか、放射性物質の排出の規模はどの程度になりそうなのか等の情報が把握されていない。
現在容器内の温度が安定していても、それは事態の根本的安定を担保していない。あくまで結果を見て当面安定しているようだということである。
このような根本原因の状態についての基本情報が得られない状況で工程表を作れるはずがないのである。
東電と政府は率直に
「原子炉内の状況把握のための基本情報が得られないので、事態がどこまで悪化するかは予測することはできない。現時点で考えられる最悪の事態とは・・・・である。先の情報が得られた段階で状況を根本的に解決できる処方箋をつくり、その後に工程表の発表となります。
現在想定している状況は・・・でその対処準備は・・・という形で進めています。したがって避難住民の復帰などのみとうしは、工程表の進捗状況を見ながらの判断となります。』
と発表すべきなのである。
前回次のように指摘した。
「・・・この圧力容器内の燃料棒がコントロールされる具体的みとうしが生まれて初めて、事態は最悪期を脱して解決に向かっているということができる。
特に循環装置を復活した安定的冷却機能の回復が肝である。」
この状況は全く変わっていないと思われる。
②2号機は深刻である。
前回次のように述べた。
『既に指摘したことであるが、2号機周辺の汚染水(1000ミリシーベルト=1000000マイクロシーベルト)の放射線レベルは格納容器内部とほぼ同じといわれる。
これは格納庫の水蒸気爆発と基本的には同じ意味を持つ。
ただ空気中に放射性物質が拡散するのではなく、汚染水という形で外に出ているということである。
圧力容器と格納容器と外は本格的につながってしまったということである。
ここで必要になるのは次に二つである。
・燃料棒の溶融状況、圧力容器と格納容器の損傷箇所の検査、把握
→対応
・事故前の安定的冷却システムの回復。(現在は人力による外からの水の強制注入による冷却)
外部電源からの電源引き込みにめどが立ち、上記の二つの課題に取り組もうとした矢先に高濃度汚染水問題が発生したのである。
すなはち汚染水対応の問題は本題にくわえて生じた新たな障害であり、プラスアルファーで生じてしまった問題である。
したがって原発の根本問題の対処にめどが立ったわけではないのである。
会見に臨む政府関係者が作業服から背広に着替えて事態の安定化をアピールしている。
根本的事態が変わっておらず、むしろ汚染水問題という新たな課題が出てきた状況で背広に着替えるのは誤りである。
これは自らの事態把握能力のなさを示しているか、または国民を意図を持って欺くことになる。』(以上が前回指摘分)
今回の 作業服→背広(平時演出)→工程表発表(事故対処は峠を越えたという演出)という流れは
『根拠なき楽観』の雰囲気を生み、現実に可能な対処と楽観的空気のギャップから国民の不満は高まり、政府は苦境に立たされるだろう。
自ら振りまいた幻想の付けを払うのである。
2号機は圧力容器の一部が破損しており、今回の工程表では特殊コンクリートの使用を検討とあるが具体的見通しには触れていない。
どのように近づき作業するのかもみとうしがたっていないと思われる。
とにかく高濃度汚染水を除去しなければ先の見とうしは立たないというところだろう。(現在の排水移行ペースでは85センチ余裕のある汚染水は約10日であふれ出す)
③4号機の使用済み核燃料プールから本格的に汚染水が漏れていた。
現在4メートルもたまっていると発表。
3月のブログで次のように述べた。
『4号機は使用積み核燃料プールへの注水が続くが、米国と日本で、プールの現状認識に重大な差異。米国はプール自体に亀裂が生じており対処不能との認識、日本側は否定。』
どうやら米国専門家の指摘の方が正しいようである。
また火種を抱えることとなる。
もう原発を扱うのはやめにしたいのが本音である。
しかし一部マスコミや政府、東電の声明を聞くとそうも言ってられない。