金融危機の行方を考える上で重要であるにもかかわらず、一般に着目されていない点に触れてみます。
①自動車産業の不況について。
GM、フォードは80パーセント前後の下落で存続の可否を問われるまで株価は下落した。
トヨタも利益は40パーセントほど減る見通しであリ、米国での売れ行きは30パーセントほど減ってきている。これはGMやフォード、クライスラー、本田などと同じ水準である。
米国での総販売台数は1600万台から1400万台へ減る見通しである。
問題はなぜ日本企業までもでの売れ行き不振に陥っているかである。金融危機が需要を冷やしているという指摘が一般的であるが、この自動車不況は構造的問題と考えるべきである。
すなわち目先は不況の影響はもちろんあるが、その背後には車離れトレンド(既に以前に指摘済みである)があると考えるべきである。これは先進国での車需要の低下(特に若者の車離れ)を見れば明らかである。
原油高による車離れもきっかけに過ぎない。この不況が収まったとしても、車産業がかってのような成長力を持った復権をすることはないということである。
新興国での一定の成長は見込めるにしても、総需要の停滞がメインシナリオであり、「ゼロサム(需要の総額が成長せず、大体一定であるということ)」の中での環境対応競争という厳しい業界となる。
少なくとも自動車産業はかってのような成長業種ではなくなるだろう。
②「インフレ懸念は去ったか?」
原油が下がることは以前指摘してきた。投機資金の引きあげで原油安、その他の資源安、穀物安が進み、インフレの危機はおさまりつつあるように見える。
原油については、OPECは本格的生産調整を実施することはできない。
少なくとも、2009年末までに決まる、ポスト京都議定書の内容が確定するまでは価格を大きくあげることはできない。
原油高騰が続けば、国際的枠組みとして代替エネルギーシフトが本格化する可能性が高くなるからである。
しかし穀物価格は再度高騰する可能性がある。適正在庫水準を大きく割る状態は続いているからである。
さらに今回の金融危機の背後には有り余るマネーの存在があった。今回の各国政府によるお金のばら撒きと、金利低下政策はさらにマネーを市場に大量供給することになる。
このお金はいずれ何かに投資されなければならず、将来のインフレ要因にならざるを得ない。
すなはち、現在は危機対応としてインフレの種をせっせとまいているわけである。