『食糧危機はやってくる』(4)
前回触れたように現在の最先端コンピュータによれば気候変動に関しては驚くべき精度で予測できるようになった。前回に引き続き『温暖化』についての世界の頭脳の集大成とも言えるIPCC報告の中で、食糧危機と関係があると思われる項目を見てみる。
1990年比で
(1)1.5-2度上昇の場合 全生物種の20-30パーセントが絶滅する可能性がある。
(2)2度上昇の場合 洪水被害年間数百万人
(3)3度上昇の場合 世界全体で農産物の生産量下がる
現在の種の絶滅速度は自然な状態の1000倍といわれる。年間では2万種が絶滅しているとも言われる。
食物連鎖の頂点にある人間に深刻な影響が生じるのは明らかである。ノルウエーで世界の種の巨大備蓄(「種の箱舟」)が始まった。意義は大であるが、人類史の終わりをイメージさせる取り組みである。
上記の1990年は産業革命前に比べればすでに0.6度上昇している。したがって多くの学者やEUが強く主張する『産業革命前に比べてプラス2度に抑える』という基準から考えると(1)以下にとどめるしか選択肢はない。
IPCC報告取りまとめに当たっては、一部途上国やアメリカなどの強い要求で緩やかなシナリオ(温暖化ガスの排出抑制を緩やかにした場合)のケースも盛り込むことになったといわれる。
専門家のIPCC前後の発言を見れば『どうしてこんな緩やかなシナリオまで作る必要があるのか』という疑問がもたれるのは当然である。
すこしややこしい話になりましたが、IPCCの出したシナリオの真ん中あたりが実現すればよいということではないことを示すために報告書作成の背景に触れました。