「最近の株価がやや強含みなのはなぜか?」


 2月6日「サブプライムとアメリカ経済」でふれたように、にサブプライム問題は金融レベルでの直接的影響については実態がほぼはっきりしてきたため、対処も可能となった。第一ステージの終わりである。


 実体経済への影響が第2ステージである。このステージではアメリカの景気後退(おそらくマイナス成長)への対処としての金利引き下げとインフレ対応としての金利引き上げのジレンマに陥ると書いた。


 現在のところ(1)サブプライム問題の第1ステージの終了、(2)FRBが景気対策優先(金利引き下げ)とのメッセージ を好感して株価はやや持ち直している。

 

 しかし(2)はうまくいかないだろう。EUの金利担当者はインフレだけしか考慮しないと明言しているし、中国のインフレ率は7,1パーセントと11年ぶりの高水準であり、香港、シンガポール、フィリピン、タイなどのアジア諸国も金融引き締めや食品価格値上げの事前申請等のインフレ対策を講じている。

 すなわちインフレ対応は先のばしできる状況ではなく、金利引き下げは火に油を注ぐ結果となるのである。すでに目の前に火種は存在しているのであり、消火の先延ばしは火災被害を拡大する。


 かといって住宅不況の影響は裾野を広げつづけており、その影響の全体像がまだ見えていない。リセッション目前で金利を上げるわけにもいかない。ジレンマである。市場の暴力的調整を受けるしか対処法はないのかもしれない。少なくとも株価にジレンマは織り込まれていない。


 日本市場は、アメリカの写真相場の側面と株価の割安さへの水準訂正という二つの要因で戻している。しかし足元の景気は消費の収縮で急速に悪化しており、アメリカの影響も十分織り込まれていない。明るい材料はないのか?


 政府は経済財政諮問会議に「構造変化と日本経済に関する専門調査会」を設けた。太田博子経済財政担当相は21世紀版の前川レポートを目指すという。(中期的な構造改革の処方箋を作るということ)

 

「もはや日本は経済一流と呼ばれる状況ではなくなった」という現政府への苛立ち発言をした太田氏の、最後の望みを託した試みと思われる。

 

 この会の答申内容が改革の加速を求めるものになり、その実現をめぐる争いが政界再編の起爆剤になれば市場は喝采を送るであろう。