大学を卒業して、入った会社はとある飲食チェーンだった。


今から何十年も前のこと。


日本にまだ「パワハラ」という言葉がなかった時代だ。


思い返せば、大学時代の就活はほぼ全滅した。


憧れのマスコミ業界の企業にたくさんエントリーシートを手書きで送った(ネットがほぼない時代のため)


だが、ほとんどが書類で弾かれた。

学歴もあったと思う。


わずかに通過した企業もほとんどが一次面接で落ちた。


アピールできるものが何もなかった。


大学に一浪して入ったが、志望校へ入らないことへの失望と、人生の諦念で生きる気力もなかった(今考えれば無駄なことをした。もっとイキイキと大学時代を過ごせばよかったと思う)


外で人と交流して取り組むことは極めて不足していて、大学でも親友としか過ごさなかった。


社会に関わりがないのと一緒なので、面接で話せるネタはなかったのだ。


そんなこんなで、残ったのはたまたま受けた外食チェーンとなった。


上司は自分よりも17歳くらい上の男性だった。


オヤジという雰囲気でとても貫禄のある人であった。


人間力もあり、部下たちに慕われていた。


だが怒り出すと止まらないときがあり、人は良いが部下にも緊張感も与えていた。


その上司によく、「お前は危機感がない」とよく叱られていたのを思い出す。新卒で、目の前のことに手一杯であったので、意識も低く、甘いということだったのかもしれない。


その当時の経験で、トラウマになったのは電話である。


土日祝日は出勤で当時は平日休みであったが、休みの日も絶賛稼働している。


そんなわけでプライベートな時間に電話がかかってくるのだ。


しかもかかってくる時はネガティブな出来事があった時だ。


えらく叱られることもあった。


そして場合によっては店舗に行かなければいけない時もあった。


当時は実家にいたので両親や家族といるときに電話をかけられて話したら、電話口でボコボコにされてひたすら謝り続けるというシチュエーションも考えられた。


そんな状況だったので、電話をもらうとビクッとしてしまうようになった。


実際に電話口で怒鳴られ続けたこともあったので、余計に。また休みの日に出社を命じられてひたすら倉庫整理をしなければいけなくなったこともあった。


そんなこんなで電話が怖くなった。


それは他の店舗に移動しても休みの電話は碌なことはなかったので、ますますその意識が強くなった。


そして電話をかけられるのは、いまだに好まない気持ちがある。


これはトラウマなのだと思う。