魔技能検定ハレルヤ 唯一無二・3/side-リク | キャラメルアメーバ

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部屋にうずくまっていた美咲を見て、胸がはりさけそうになった。


この子を置いて、自分だけ元のとおりに魔界の生活に戻ろうとしていたなんて、自分が許せない。


だけど、彼女を抱きしめた瞬間に、もう忘れてしまっていた。


好きだって、愛してるって、ただそれだけだ。


こんなにも大切で大好きで、かわいくて愛おしい。


泣いていたことをわかっているのに、それでも彼女の声が聞きたくて冗談に混ぜて催促してしまうオレって、ほんとに自分勝手だなと思う。


でもさ、おかえり、って言ってほしかったんだ。


魔界に帰れって言ったのは美咲なのに、オレを迎えてくれるのかとか、そんなことも忘れてた。


美咲が最初に、オレの好きなその声で紡いだのは、オレの名前だった。


ドクンと胸が鳴って、心が震えた。


今彼女にそう呼ばれるためにこの名前に生まれてきたんだって思えた。


それから、おかえりなさいって、聞きたかった言葉もくれて、危うく泣きそうになった。


うっすら浮かびかけた涙が引くのを待って、ようやく彼女の顔を見る。


目も鼻も赤くて、涙の跡が痛々しい。


それなのに、美咲はやっぱり優しくて、オレの心配ばかりするんだ。


「リク、翼はどうしたの?手術するんでしょう」


ホントかなわないやと思いながら、オレは彼女にウソをついた。


「ああ、うん。いいんだ、いつでもできるから」


ふと眉根が寄せられたけど、彼女は翼の時限なんて知らないはずだし、知らなくていいことだ。


手術に間に合うように、また魔界まで飛べる体力は残ってない。


隻翼で生きてく覚悟は、ここまで飛んでくる間に固めた。


後悔なんて死んでもしないって、たった今確信した。


「・・・・そんなことより、美咲、どうして泣いてるの?心配で戻って来ちゃったよ」


ああ、これもウソだな。


美咲が心配だったから帰って来たんだなんて、単なる口実。


オレが会いたかったから。


会って、声を聞いて、この腕にきみを抱きしめたかった。


愛してるって、言いたかったんだ。


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