母親が倒れた。
一番初めに見つけて救急車を呼んだのは私だった。
人形のような母をかつぎあげる救急隊員に聞いた。
「大丈夫ですよね、後遺症は残りませんよね?」
その後、数日間意識が戻らないまま母はいなくなってしまった。
言わなければいけない事があったはずなのに。
でも、それを言ったら自分は。。
数年が過ぎた。
あれ程、身近にいた存在である母親の顔も思い出せなくなっていた。
たった数年で。
この日私は気分が重かった。
近頃何もかもが上手くいかない。
人間関係も、人間関係が、全てが。
いつからこうなってしまったんだろうか。
生まれた時からかもしれない。
一人暮らしをしている部屋にネットがつながった。
仕事が終わって何もする事がないので曲を流し続けた。
するとなつかしい曲が流れた。
高橋ひろ
夕方再放送をしているアニメのエンディングソングだった。
”外は雨がまだやまずに濡れてる人々と街がそれでも太陽信じてる”
これは何故か好きだった。
この曲が流れる時間帯は
夕方の夕飯の支度をしている台所からの臭いがする家の中は少し薄暗くなっていて
一日が終わるのが切なくてもったいなくて寂しくなって・・
そう、、
あの日私は夕飯を残してしまった。
別に文句を言った訳でも無くただ残してしまった。
それに対して母は何も言わなかった。
ごめんなさい。
もしあの時そう言っていたならば何かが変わっていたのだろうか?
少なくとも、今私の食べているインスタントラーメンがさらに塩辛くならなくても済んだかもしれない。
もう全ては遠い昔の事。
影は私を離れようとしない。