なんかパッとしたことしたいなあ。

でも、人前に立つのとか苦手だしなあ。

ああ、アイドル作りたいなあ。


男はなんとなくそう思ったので、そんなにかわいくはないけど声が好きな女の子の友達適当に誘ってみました。


昔バンドをやっていたのでそれなりに曲とかは作れるので、作った曲を

その女の子に歌わせる事にしました。

男はこれを”てつじん28号作戦”と呼びました。

てつじんは女の子、そして裏から操る正太郎君は男という事です。


実際の活動では、

その女の子の着てる服とか、振り付けから何から何までトータルプロデュースしました。

そうしたら、結構売れました。


みんな、男が作ったアイドルに夢中です。

「この子は僕の頭の中、つまりは僕だって事も知らずに、うひひひ。」


いつの間にか、その手腕を買われてプロデューサーとしてのオファーがたくさん来るようになりました。

副業として、たくさん似たようなアイドルを作ってはそのたびに女の子達は売れていきました。


ある日、レコード会社から「本業のほうもさ、今のユニットの女の子でなくて、他のもっとかわいい子とユニットを組んで見ないか? 」といわれましたが男は断りました。


いつの間にか、男は自分が一番最初に作ったアイドルが好きでたまらなくなってしまっていたのでした。

かわいくはないかもしれないけれど、

自分にとって心地のよい、声、雰囲気、バランスといったものを叩き込んでいるうちに

自分の頭の中の理想の女の子になってしまっていたのでした。


でも、出会いがあれば別れがある。


女の子は病気にかかってしまいました。

死にはしないけれど、もう以前の声や雰囲気は失われてしまいました。


「マスターテープが無くなってしまった。。もう、コピーが作れないや。」


てつじん28号のいなくなった正太郎君はただの少年になってしまいました。