一人、寂しく映画館で映画を見る。

ラブストーリーを見た。


別に、役者の演技がいいからとかじゃなく

話が素晴らしいからとかじゃなく

分かっていた事、

心の奥底に無理矢理しまいこんでいた事、

それが、びっくり箱を開けたかのように

自分の外に出てきた。

ただ、それだけの事。


自分の内側がスクリーンの中でカラカラと音を立てて動いているよう。

いつの間にか自分が本当に欲しいものが分からなくなっていて

どこかに置いてきた自分の事

それに気がついただけ。


妄想の中のあの子は、いつも誰かに姿を変えて

自分はそれをいつも見る事しかできない。

追っては逃げて、逃げては追ってくる影法師。

いつになったら、影を踏む事ができるのかな。


自分はいつも紙粘土のように形を変えているけれど、

いつの間にか、本当の形を忘れてしまっていたのかな。


ちょっとだけ寂しい

ただ、それだけの事

それだけの事なのに、涙が止まらないだけ。