細い糸の上を歩いているような、
トレーナーを裏返しに着ているような、
そんな不安な感覚に見舞われた事はありませんか?
それは、多分今まで信じていたものが
信じられなくなってしまう。
そんなときの事。
どうして?
なぜ?
知らなくていい事という事が世の中にはたくさんある事を知らずに
知識欲を満たすためにそのタブーを犯すと
ガラス細工のような人の心に直接アイスピックを打ち込むようなことになってしまう。
よく道で気が触れたかのような人を見かけるとき
タブーを犯してしまったんではないかと思ってしまうことがある。
普通に、奉公人として働き、結婚、子供、家族を持っていた男。
現状、良くも悪くもなく、与えられた範囲の中で考え、動いていた男。
人が人としていられる範囲。
今が一番満たされている時。
それにもかかわらず、ふと何かをきっかけに、禁忌を犯してしまう。
それ以上のものを得ようとしてしまう。
しかし、何かを得るという事は何かを失ってしまうという事。
その何かというのは、人によって違う。
その男は、まず仕事を失った。
仕事を失った次に、妻、子供を失った。
今の彼に残されているものは、彼にとっての真実。
それはとても残酷なものではあるが、他の誰のものでもない彼だけのもの。
どんなに口で上手く説明したところで、他の人には彼の真実を100%理解することはできない。
その真実の重みに彼の心は耐えられなかった。
「ああ、どうしてあのときあれに触れてしまったのだろうか?」