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アメリカを代表する社会派映画監督のオリバー・ストーン氏がこの夏、被爆地の広島・長崎を初訪問した。かつて「原爆投下が戦争を終わらせ、日米両国の多数の人命を救った」と信じていたストーン監督だが、いまでは「『原爆投下は正しかった』というのはアメリカが創作した神話であり、トルーマンという『凡人』によって引き起こされた悲劇だ」と断言する。


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■被爆展示が「衝撃的すぎる」として内容を変える動きもあります。一方で、過去にあった出来事を直視しなければならないという意見もある

カズニック氏:
日本では、子どもたちが遠足や修学旅行などで広島・長崎を訪れ平和学習をするという伝統があるが、年々、訪問者数は減少傾向にある。しかし、それは日本だけの現象ではない。アメリカ・ワシントンD.C.にある「ホロコースト・ミュージアム」も同様だ。訪れる子どもたちへのショックを考慮するという理由で犠牲者の写真や資料などの展示が減らされているのだ。将来を担う子どもたちが過去の歴史を知ることはとても重要であり、この問題への対処は真剣に考えなければならない。

ストーン氏:
広島・長崎の資料館の充実ぶりには驚いた。あのような施設がアメリカにも必要だ。

カズニック氏:
アメリカには日米戦争についての資料館はほとんどない。オハイオ州・デイトンの空軍博物館に長崎に原爆を投下したB-29「ボックスカー」の機体と原爆のレプリカが展示してある程度だ。

ストーン氏:
長崎で「岡まさはる記念長崎平和資料館」に立ち寄った。私設の資料館だが、戦争で日本軍が関わった「加害」に関する写真や証言など多くの展示があり非常に感銘を受けた。

戦争中、シンガポールやベトナム、マレーシアなどアジア太平洋地域で日本軍が何をしたか。慰安婦の問題もあるし、中国や朝鮮の人たちを強制労働に駆り出したことも事実だ。日本の軍人が笑みを浮かべながら人間の首を切り落としている写真を見たことがある。彼らにとっては「男らしさ」の証明だったのかもしれないが残酷すぎる。私もベトナムで普通の人間が残虐性を増して行く光景を目の当たりにした。

日本にも「まだ語られていない歴史」がたくさんあるだろう。戦争被害の実態とともに加害の事実にも関心を向けなければいけない。





■戦場での経験が「社会派映画監督」を生んだ


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ストーン監督はエール大学中退後、21歳の時に志願兵としてベトナム戦争に参加している。米陸軍歩兵部隊や空挺部隊などに所属。1967年9月から1968年11月までの15ヶ月間、戦闘の最前線にいた。その時の体験をもとに制作した映画『プラトーン』はアカデミー賞作品賞、監督賞など多くの賞に輝き、ベトナム帰還兵の苦悩を描いた『7月4日に生まれて』もアカデミー賞監督・編集賞を受賞した。

どちらの映画も戦場のリアリティにこだわり人間の残虐性を描くことで、敵味方関係なく心身に大きな傷を負うこと、そして戦争が決して「勇ましくかっこいい」ものではないことを訴える。



■ストーン監督は「日本人はなぜ反戦・反核にもっと積極的にならないのか。声を上げる政治家もいない」と指摘した


ストーン氏:
第二次世界大戦後、日本ほど急速に「アメリカ化」した国はなかっただろう。マッカーサー将軍の上陸以降、アメリカ製の車や電化製品などがなだれこみ日本のライフスタイルは一変した。その時、日本人は自らの「個性」を保つことを意識したのだろうか。私は映画監督として、黒澤明や小津安二郎、溝口健二らが作品に込めた「日本人の精神性」や「宗教観」を尊敬している。そのようなものはまだどこかに残っているのか?

カズニック氏:
私の大学にも日本人学生がいるが、アメリカ人に比べればおとなしい印象がある。それは他人よりも目立つことで注目されることを恐れ、衝突を避けようとする国民性が影響しているのかもしれない。自由な意見を出そうと試みる人もいるが、社会的圧力がかかることもある。極端な例としては、1980年代から日本軍が太平洋戦争で犯した戦争犯罪についての議論が始まったが、長崎市長が天皇の戦争責任に言及したことに反感を持った右翼団体の幹部に銃撃された事件などがある。

70年代くらいまでは安保運動など激しい体制批判の動きもあったが、いまの日本社会では右翼や左翼を問わず際立った活動をしたり、歴史観を打ち出すのは難しいのだろう。





http://www.huffingtonpost.jp/2013/08/13/oliver-stone_n_3752018.html








 8月6日に広島で行なわれた映画監督オリバー・ストーン氏の畳み掛けるような講演、これがまた素晴らしい。以下書き起こしです。ぜひ最後まで読んでみてください。


今日ここにこられてうれしい。初めて広島に来たが、この2、3日、特に皆さんも出席されたと思うが今朝の(原爆記念)公園での式典を見て強く心動かされた。よくできた式典だった。日本人の良心を証明するような式だった。

すばらしい記念式典は「日本人」の性質をよく表していたと思う。しかし、今日そこには多くの「偽善」もあった。「平和」そして「核廃絶」のような言葉が安倍首相らの口から出た。でも私は安倍氏の言葉を信じていない。

第二次大戦で敗戦した2つの主要国家はドイツと日本だった。両者を並べて比べてみよう。ドイツは国家がしてしまった事を反省し、検証し、罪悪感を感じ、謝罪し、そしてより重要な事に、その後のヨーロッパで平和のための道徳的なリーダーシップをとった。

ドイツは、60年代70年代を通してヨーロッパで本当に大きな道徳的な力となった。平和のためのロビー活動を行ない、常に反原子力であり、アメリカが望むようなレベルに自国の軍事力を引き上げることを拒否し続けてきた。

2003年、アメリカがイラク戦争を始めようというとき、ドイツのシュローダー首相は、フランス、ロシアとともにアメリカのブッシュ大統領に“No”と言ったのだ。しかし、第二次大戦以来私が見た日本は、偉大な文化、映画文化、そして音楽、食文化の日本だった。

しかし、私が日本について見る事の出来なかったものがひとつある。それは、ただのひとりの政治家も、ひとりの首相も、高邁な道徳や平和のために立ち上がった人がいなかったことだ。いやひとりいた。それは最近オバマ大統領の沖縄政策に反対してオバマにやめさせられた人だ。

みなさんに聞きたいのは、どうして、ともにひどい経験をしたドイツが今でも平和維持に大きな力を発揮しているのに、日本は、アメリカの衛星国家としてカモにされているのかということだ。あなた方には強い経済もあり、良質な労働力もある。なのになぜ立ち上がろうとしない?

第二次大戦後、米国はソ連を巨大なモンスターにしたてあげた。中国はいまその途上にある。つまり米国の「唯一の超大国」の立場を脅かすもうひとつの超大国にしたてあげられようとしている。今は大変危険な状況にある。

オバマはヘビのような人間だ。ソフトに語りかける。しかしオバマは無慈悲な人間だ。台湾に120億ドルもの武器を台湾に売り、日本にスティルス戦闘機を売る。日本は世界第4位の軍事大国になっている。それを「自衛隊」と呼ぶのはかまわないが世界4位の軍事大国だ。

日本より軍事費が多いのは米国、英国、中国だけだ。日本をそういうふうにした共犯者はアメリカにほかならない。日本は米国の武器の最大の得意客なだけでなく、アメリカの行なったクウェートやイラクでの戦争の戦費の支払をしてくれた。

よく聞いてほしい、アメリカは、こんなことを言いたくはないが、いじめっ子なのだ。日本が今直面している恐ろしい龍は中国ではなく、アメリカだ。4日まえ、私は韓国の済州島にいた。韓国は上海から400Kmのその場所に最大の海軍基地を作っている。

韓国は済州島の世界自然遺産の珊瑚礁を破壊して巨大な海軍基地を作っている。そこは、中国に対しては沖縄よりも前線に位置する。その軍港には世界最大であらゆる核兵器を搭載する空母ジョージワシントンが停泊できる。そこから出て行って中国のシーレーンを制圧するのだ。

今年、戦争がアジアに戻ってきた。オバマと安倍は相思相愛だ。安倍はオバマが何を欲しがっているか知っている。なかでも尖閣諸島について、私にはコメントしようがない。あんなものを巡って戦う気が知れないが、それなのに戦う価値があるように言われている。

いま皆さんは核兵器廃絶が大切だとお思いだろう。しかしこのポーカーゲーム(危険な賭け事)はアメリカ主導で軍が展開して急速に進んでいる。アメリカは世界の73%の武器を製造しては売りさばいている。それには無人攻撃機、サイバー兵器、宇宙戦争用の武器も含まれる。

核兵器などは、アメリカが戦争に使う兵器のごく一部でしかない。米国は世界の歴史上最強最大の軍事国家なのだ。どう思いますか、みなさん。これに対して怒りを感じてほしいです。私が怒っているのと同じように、皆さんにも怒ってほしいのです。

米国は「唯一の大国」であろうとするために脅威を増大させ、世界中にアメをなめさせ、無実の人を刑務所に入れ、消し、ファイルを秘匿し、盗聴し、永遠の監視国家たろうとしている。ご存知かどうかわからないがジョージ・オーウェルがこのことをうまくいいあらわした。


これが今世界に起っている事だ。日本は、悪事に加担している。もう一度言おう。ベトナム戦争の後、みなさんは戦争のあぶなさにを知って、これがアジアで最後の大きな戦争になると思ったはずだ。でも、もう一度戦争がある。

ここでみなさんにはドイツがヨーロッパでしたように、立ち上がって反対の声を上げてほしい。日本はかつて敗戦し広島長崎そのたでひどい目にあった。その悲しみを糧にして強くなり、繰り返し戦争を起こして日本と世界に痛みを与えてきたバカ者どもと戦ってほしいのです。



http://d.hatena.ne.jp/musikusanouen/20130809/1376055730



オリバー・ストーン「安倍の言うことは信じることができない」 原水禁2013