30年間以上預かったままだった
絵がありました。
この度、やっとその決着をみました。
それと合わせて、
人間国宝の手によるお人形も。
私はこれまでそのお人形を
一度も観たことがありませんでした。
お義母さんの書斎の奥深くに
仕舞われていたのです。
お義母さんの父親が購入してくれた
ものだそうで、
それを語る時の義母の表情が
心なしか嬉しそう。
いつもは夫からみれば祖父であるその人の
悪口ばかりを聞かされている私としては、
お人形の存在も義母の表情も
意外なものでした。
そのお人形と絵を持って
然るべき所に行ったところ
事前にネットを通して
リサーチしていたよりも
ずっと高い値がつきました。
絵は売って、本来の持ち主である
親戚にお金で戻すと決めていたので
即決。
問題はお人形です。
初めて観るそのお人形の顔が
その作者特有の魅力に溢れていて、
私も一目でいいお人形だと
思ったくらいですから、
価値があるものには違いありません。
ですが、状態が今ひとつ。
「こんな風では、値がつかないのでは？」
とすら思ったのに、
少しまとまった金額がつきました。
私なら即決と思いましたが、
義母は逡巡。
それは当然ですよね。
父親が買ってくれた物なのですから。
そこで、私は遠慮なくきっぱりと
言いました。
おかあさん、これを手元に置くなら
是非飾ってくださいね。
湿度管理もちゃんとして。
観てももらえず、放って置かれたら
お人形が可哀想です。
この立派なお人形が活きるように
なさってくださいね。
するとお義母さんは
手放すと即決。
「活かした方がええな。」と。
手入れして、誰かに観て愛でて
もらった方が良いね、と。
息子夫婦も孫たちも
その人形を引き受けようとしない。
それを残念に思ったかもしれませんが、
お義母さん自身が、飾る場所はあるのに
長年仕舞い込み、持て余してきたもの。
決めた後はスッキリしたようでした。
決めたら行動の早い義母。
早速、絵の代金を親戚に
人形の代金を孫に振り込み
きれいに決着。
もうお金になるような物は無いので
終活は終わった！ と義母も嬉しそう。
置いといたらええ
から
活かした方がええな
「これ、こういう大物だけじゃなくて
日用品レベルでもそうなんですよ。」
などと余計なことは言わずに飲み込み
私もお義母さんのこの度の意識転換に
拍手を送るのでした。
本当に良かった！
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