ヘルニアの治療を終え、スーパー銭湯へ。
薬湯に浸かって患部をほぐすのが目的だが、
幸い午前中なのでかなり空いている、のんびりリフレッシュ出来そうだ。
ずらっと並んだ洗い場はほとんど全て空いていたので、まずは体を洗う事にした。
ちゃちゃっと洗って露天風呂いこ~っと(^o^)♪
頭を洗い終え、体を洗っていると、鏡越しにオイラの後ろを小太りの中年男性が通りすぎる。
その後ろを何年も地下で暮らしていたかの様なまっ白な青年がついて行く、青年は体脂肪がほとんど無いような華奢(きゃしゃ)な体で、背も割と高かったので異様に細長く見える、そしてその体格にはアンバランスな、太くたくましく育った松茸を垂らしていた。
顔も一般人にしてはかなり良かったので、白い独特の雰囲気と相まってこりゃモテるな、なんて思ったが、それよりも巨大松茸に気圧され正直オイラはひるんでいた。
えらいもん見ちまったな。何となく罪悪感の様な、でっかいザリガニを見つけた時の高揚感の様な、なんとも表現しづらい変な気分でいると、この中年男性は空いているにもかかわらず、オイラの隣に座って来た。暑苦しいな。
気にせずに体を洗っていたのだが、そんなオイラの前に中年男性の手が伸びてきた。
中年は目の前に自分のがあるにもかかわらず、オイラの前に置いてあるシャンプーを持っていったのだ。
少しイラっとして横を向くと、中年と青年は向かい合い、見つめ合いながら座っていた。
はっ?なにそれ(°Д°)
そんなオイラをよそにおっさんは青年の頭にシャンプーをかけると、優しく揉みほぐす様に洗い始めた。
ぬわわわわ~、オイラの隣で何おっぱじめてやがるんですか?アナタ達?(°Д°)
頭を洗い終わると、次は体を同じように手のひらで撫でるように優しく洗っていく。
おっさんは満面の笑みだ。
ひいいっ、キモっ!!キモすぎるっ(°Д°)
これをオイラに見せつけたくて隣に座りやがったな?
こんな公衆浴場でなんて事してるんだ。。
いや、待て!落ち着けオイラ!青年はきっと病気で体が不自由なんだ、だから白いんだ、優しい父親が息子の世話をしているに違いない、これは親の愛だ!
そう言い聞かせながらも鏡に写る二人にチラチラ目がいってしまう。
そんなオイラをよそに、父親は次の作業に移る。泡を手にとり、青年の頬に優しく塗り込み、薄いひげを剃り出した。
あ、あ~そうね、献身的ね。
と言いつつ鳥肌拡大(°Д°)
・・・父親のおかげで、青年はピカピカになった。
いや~良かったね~っ
病気早く治るといいねっ(^-^)/
で終わると思ったら甘かった。今度は青年が手に泡をとり、それをオヤジの毛の無い脂ぎった頭頂部に塗りだしたのだ。
そして禿げた頭をカミソリで優しく撫で始める。
うおえぇぇぇ~~~。。(°Д°)(°Д°)(°Д°)
体を温めるための温泉で、鳥肌につつまれたオイラの全身はみるみる氷りついてゆく。
今度は青年のターンとなり、オイラの足もとに呪われた泡が流れてくるほどの近距離で、子供達の目を覆いたくなるような惨劇が繰り広げられていく。
だっ誰か助けてくれぇぇぇ!!!
けっ警察と救急車呼んでくれっ、オイラを乗せて逃げてえ~~~っ(つД`)・゜・
しかしうっとりとしたジジイの顔とは裏腹に、青年はずっと無表情、まったく感情が無い様な、それでいてどこか悲しげな目の奥には、オイラには計り知れないどす黒い闇を感じた。
あ~、これにはきっと多額のピグコインにあたる様な何かが動いているのだな、もしくは青年の会社での立場などに関わるパワーバランス的な事情があるのかも。
長い不況と就職難でつらい時代を生きる若者、そしてバブル世代の編隊社長、今の世の中の矛盾が今まさにここにある。
選挙で野党の顔ぶれが変わっても、この国が抱えた深い闇は変わらない、それを垣間見て、リフレッシュどころか心に病を患い帰路につく事になるのであったが、唯一救われた点は角度的にあの巨大松茸の手もみ洗浄を見ずに済んだ事だろう。
もし不幸にも目撃していたなら、オイラはそのまま浦和のサナトリウムに直行し、精神の治療を受けるため、しばらく入院生活を送るはめになっていたはずだ。
こうして九死に一生を得た事が、その後のオイラのメンタルに少なからず影響を及ぼしている事は間違いない、打席で緊張?フッ甘いな。
不動心、球道を極める道は果てしなく続く。完
フィクションでは無いよ。
チクショー、書いちまったよ。忘れたいのに、忘れたいのにぃぃィィ・・・