「あんまり時間をかけたくないんだよね・・・・・雷光の矢!」
砂鉄で出来た首飾りを弓の形に変化させ、電気の矢を番える。『ギュン』という音を残して矢は小介に向かって飛んで行く。しかしその矢を大蝦蟇が飲み込む。白は動じず腕に電気を纏い、小介に殴りかかる。
「あっ、いや~、聞かぬなぁ~!」
白と小介の間に土が盛り上がって割って入る。纏った電気は吸い取られ、白はカウンターの一撃を腹に見舞われる。小さくせき込んだ後、首飾りを刀に変えて切りかかるも土蝦蟇に阻まれる。
「絶対絶命とわぁ~、こっ、このことだなぁ~・・・・!」
小介が声高らかに大声をはりあげる。すると白はニコリと笑顔を見せる。
「ん~・・・・ちょっと腹立つな・・・・。もういいやっ、樹君に教えてもらった『とっておき』を使おうかな。」
次の瞬間、小介は後ろへ飛び退く。忍としての本能が彼にそうさせたのだ、白の殺気を感じ取って。一方白は右手に砂鉄を集める。筒状になったそれは六つの空洞があり、現代でいうガトリングに近いものになった。パラララという小気味のよい音とともに巨大な銃弾が射出される。連続して打ち出される銃弾を避ける事が出来ずに小介は足に負傷を負う。
「さっき、嘘をついたんだ・・・・。腹が立ったのは君へじゃない・・・・僕へ・・・いやっ、『服部 半蔵』という地位に・・・・。風雅は・・・・樹君が帰って来て・・・すごく嬉しそうなんだ・・・。そんな彼と背中を守りあう事が出来ない。とってもそれが腹立たしい・・・・。だから・・・・悪い言い方すれば・・・これは・・・八つ当たりみたいなもんだね・・・・・。」
腕の砂鉄がさらさらと飛び散り、白の全体を覆い尽くす。西洋甲冑を模した黒き鎧が白の体を包む。上品な口元と優しく曲がった栗色の毛だけが鎧から姿を見せていた。下半身に至っては馬のような強靭な四本足のものになっていた。
「防いでみなよ・・・・・?奥義・・・・・黒騎士・・・・!」
風を切り、音より速く白は距離を詰め、右手に持った長槍で渾身の突きを放つ。その威力は絶大で、守りに入った土蝦蟇ごと小介の上半身を完全に貫いていた。というより抉っていたというほうが正確であろう。完全に彼の上半身は消し飛び、蝦蟇の体には巨大な穴がぽっかりとあいていた。
「おみごと!是非是非次は我々とお手合せ願いたい・・・・雷堂 白殿・・・・。」
凛々しい顔をした青年が三人の大男を連れて白の後ろに立って居た。白は体勢を立て直し、三人を睨み付ける。『全員手練だ・・・・・。この人数はまずいっ!』
「そんな人数・・・・・性質が悪いんじゃないの・・・?」
金髪男がぬらりと間に割って入る。長身の彼は見下すようにして青年に言い放った。
「俺たちも混ぜて貰おうかな。」
甲賀忍である廻神と面無二人の加勢、この上なく心強い援軍であった。