「おぉー樹かっ?まことにうぬは樹かっ?再び会えて嬉しいぞ・・・!」
「いやーっ、家康のじいちゃんも元気やった?俺だって嬉しいって!」
江戸城に付いた樹は風雅から貰った書状をつかって家康の下へとたどり着く。江戸に滞在した二年間に世話になった家康との再開が無性に嬉しそうであった。
「家康様・・・・こやつが本当に和田 樹か確かめさせてください・・・。」
家康の後ろに控えた黒装束の忍が樹を窓の外へと突き飛ばす。地上から50m以上の場所から落下するものの、彼は落ち着き払って地面に蜘蛛の巣状に張った水のクッションを作り上げる。それを使って難なく着地した樹は屋根をつたって降りて来る黒装束の男に水弾を放つ。男はひらりとそれを避け、樹に向かって手裏剣を放つ。樹がそれを避ける隙に男は距離を詰めて黒い刀で樹に切りかかる。
「やっぱお前かよ・・・・!」
樹は氷の剣である『氷雨』を作り上げて応戦する。流麗な剣舞は男のそれを十分に上回った。氷雨が男の頭巾を切り裂く、露わになった顔は童顔で、言葉が無くなるほど美しい。どちらかというと女性的なそれである。
「へへっ、久しぶりだね♪」
「『久しぶりだね♪』ちゃうわ!ほんまっ、どこにこんな挨拶する奴がおんねん・・・白・・・。」
伊賀の二番手、現在の服部半蔵を努める雷堂 白は砂鉄で出来た刀に手をかざし、それを弓に変える。雷の矢を番え、放つ。それを避けても意味は無いと知っていた樹は、厚い氷の壁を作ってそれを防ぐ。氷の壁に隠れて、白は弓を巨大な槌へと変換する。
「怒・・・・槌・・!!!」
巨大な槌が樹を襲う。樹は地面より巨大な二本の腕を作り出し、それを受け止める。
「そろそろ・・・・わかったろ・・・・?」
「うん♪相変わらず樹君は強いね・・・!」
「ってか、お前、初めから解ってて・・・・!自分、戦いたかっただけやろ?」
図星だったのか、白はそそくさと天守へと戻る。それに続いて樹も戻り、十勇士や、甲賀の状況を二人に説明した。
「ほほっ、じゃあ、樹も我が孫娘、千の奪還を・・・・。」
「いやいやっ、じーちゃん、俺はまだ協力するって決めてないぜ・・・?」
「ど・・・どういう事じゃ?」
「その・・・千姫様がどんな人か見極めてからだな・・・。命を懸けてるんだから・・・・それぐらい当然やろ・・・?多分、じーちゃんの孫なら、俺も気に入ると思うわ、うん!」
「相変わらずやなー、大阪城、現世でもこっちでもかわらんなぁっ!」
夕暮れ頃、樹は大阪城を見上げていた。そして彼はこれより大阪城へ潜入する、千姫という人間を見極めるために・・・・そして・・・・。唇をかみ締める、気持ちが急いているを抑えながら、樹はゆっくりと大阪城へ入っていった。