目が覚めると、自分の顔を千姫が覗き込んでいる姿が目に入った。風雅は驚いて身体を起こすものの、千姫の額と自分の額をぶつけ、ふたりしてころげる。


「せっ、千姫様・・!?な・・・何故・・!?」


「てきでも・・・しぬのはみとうない・・・・。」


 風雅は深々と頭をさげる。そして、自分が寝ている幸村に命を狙われるも、服部 半蔵にその危機を助けてもらったと言う話を聞いた。


「千姫様・・・鏑木一党の事につきましては・・・・。」


「なにも・・・いうな・・・・。まえをみるのじゃ・・・!」


 そういった千姫の姿と復讐の連鎖から脱した後の樹の姿がかぶり、風雅は懐かしさに捕われた。


「姫様・・・。姫様は・・・・『まっすぐ』生きてください・・・・かつて、そのことを私に教えてくれたものが居たんです。」


 風雅は千姫に樹のことを語る。好敵手としての出会い、十勇士との戦い、最愛の人の死、そして復讐、復讐が生んだ復讐に捕われ、それから脱するときに得た答えを。千姫は真剣に聞き入り、樹について多くを質問した。


「きめた・・・。わたしはかえらん・・・・。じじさまにいいたいから、つれていってたも・・・。」





 江戸城、天守閣、将軍徳川秀忠、大御所徳川家康、家臣一同が窓辺に釘付けになっていた。宙に浮かぶ人間、そしてその背中におぶられて居るのは、大阪城に居るはずの千姫であった。


「じじさま・・・ちちうえ・・・・せんは・・・・かえりませぬ・・・・。」


「な・・・何故・・!?」


 優しい顔をした家康もギョッと目をむく。しかし千姫は笑顔で話を続ける。


「せんは・・・・おおさかのひめでありまする・・・・。せんをつれもどしたくば・・・・せいせいどうどう・・・つれもどしにきてくだされ・・・!それっ、ふうが、もどるぞ・・・!」


 それだけ言って千姫は風雅の背中に乗って大阪城に戻る。千姫は風雅の手を握って笑顔を見せる。


「ふうが・・・!うぬは・・・・まっすぐいきれ!!」


 そして二人が再開するのは燃え上がる大阪城にてである。