「ずいぶんな挨拶だな・・・・。貴様らが真田殿を手引きしたのだな?」


 佳乃の放った苦無を指で挟んで余裕の表情で下を見つめる。三人の忍の動きを牽制しつつ、腰にささった刀を抜き放つ。


「覚えているか!?私は、お前の殺した由利 鎌之介の妹だ!」


 そういって再度苦無を投げる佳乃に向かって風雅は刀を振り下ろす。その一刀を割って入った丸爺の腕に巻かれていた紙の包帯が受け止める。一瞬動きが止まった風雅の耳に、謎の音が響いたかと思うと、彼は平衡感覚を失ってその場に片膝を付く。


「白鷺、佳乃、うぬらは城に戻って報告せよ・・・。」


 丸爺はそういうと解かれた両手の包帯を操って風雅を狙う。風雅は平衡感覚を失いながらも後ろに大きく跳び、その攻撃を避ける。しかし、間髪置かずに魔狐の口から豪炎が放たれる。風雅は自分の体に風をまとってそれを防ぐが、さすがに全ては防ぎきれず後方の茂みに逃れる。


「逃げても無駄じゃよ・・・・。」


 そういって丸爺が刃となった包帯を茂みに向かって放った瞬間、茂みから風の刃である『かまいたち』が放たれる。かまいたちが直撃した丸爺は体より血を吹き、その場に倒れこむ。


「・・・・丸爺・・・!」


 魔狐が短く叫ぶと狐の仮面を外して炎を放つ。茂みを丸々炎が包み、そこから出てきた風雅に対して再び炎を放つ。風雅はふらふらとしながらも攻撃を紙一重で避け、かまいたちを放つ。魔狐もそれを軽々と避けて巨大な一撃を放つために大きく息を吸い込む。


「・・・・させるか!」


 風雅はそういって魔孤に向かって体を進めようとするものの、何者かによって阻まれた。彼の両手両足には凄まじい強度の包帯により後方から雁字搦めにされていた。


「丸爺・・・・。」


 魔孤の左目から涙が流れ落ちる。そして彼の口から超巨大な炎の玉が放たれた。すると風雅は低く腰を落とし、静かに深く息を吐く。


「風双・・・裂掌っ!!」


 風雅の両手の周りに巨大な楯状の風が吹き渡る。体を縛っている包帯をちぎり、炎を受け止めかき消していく。攻撃を終えた魔狐の肩口に、刃物で切ったような傷が出現し、そこから血が噴き出す。その瞬間に魔狐が見せた一瞬の隙を風雅は見逃さなかった。数秒後、魔孤の腹には先程佳乃が投げた苦無が深々と突き刺さっていた。


「くそっ・・・!」


 魔狐は傷口を塞ぎながらその場を去る。風雅は深追いすることなく引き返していった。彼が前もってとっておいた宿への道で片膝を付いて吐血する。


「くっ・・・甲賀七忍・・・・。あの傷では奴もじき死ぬか・・・。後五人・・・・一人一人があの実力・・・・俺一人で倒せるであろうか・・・?なぁ・・・樹・・・・お前ならこんな時はどうするんだ・・・?」