時は1612年、『彼』が現世に帰ってから十年後となる。そして初めの舞台は九度山、もちろんそこには歴史的に有名となる真田源次郎幸村が幽閉されていた。
「ところで・・・・だ。君は『彼』と知り合いだったね?」
初老の男がぽつりと呟く。その男こそが真田 幸村である。細身であるが筋肉質で、鋭い目は全く老いを感じさせないものである。
「十年前に・・・・。貴方であろうと『彼』に興味がおありですか?」
答えた男は三十路手前の屈強そうな伊賀者であった。その名を堤 草月と言った。天才軍師と恐れられた真田 幸村を見張るために置かれた伊賀者の内の頭として彼の隣についている。
「いや・・・『彼』を憎んでいるのだよ。」
草月は無理もない、と思いつつ彼にわかりきった答えを促すために次の言葉を口にする。
「十勇士の件ですね・・・?こういっては失礼に当たるかもしれませんが、あれは仕方が無かったものかと・・。」
「違う・・・。あれは、彼奴らが弱かったまでの事・・・。彼が来た事によって伊賀と甲賀が手を取り合った。そして『刃心』は枯れた。『彼』のせいで伊賀も甲賀も腑抜けとなった・・・・私はそれが憎くてたまらん。」
彼がそういった瞬間、草月は異変に気付く。伊賀に伝わる敵襲の合図を耳にし、彼は臨戦体系をとる。
「草月様!敵襲、敵は七人!既に此方は半数以上が!ぐあっ・・・!」
そういって黒装束の男は文字通り破裂した。どういう原理か解らないが、敵の忍の技であることに十中八九は違いないだろう。草月は自慢の脚力を駆使して奥の扉に蹴りを入れるものの、彼の足は敵に術によって吹き飛び、跡形もなくなっていた。
「乃亜、ほれ、頭だ!止めを刺せ!」
「権太・・・・。良いとこもっていった・・・・。」
そういうと乃亜という美しい顔立ちをした少年は水の刀を作り上げる。それを見て草月は目をカッと見開くこととなる。それは恐怖ゆえで無く、その能力が『彼』の能力と重なったからであった。
程なくして草月はこの世から去ることとなる。そして幸村と共に、七人の悪魔が九度山から放たれる。そして次の舞台は・・・・伊賀、そして甲賀となる。