俺が再び立ち上がったときには、皆は既にやられていた。ドクン、ドクンと心臓の音が五月蝿い。天海が此方に気付き、攻撃を仕掛けてくる。


「待ちくたびれましたよ・・・。こいつ等全て殺してしまおうかと思いましたよ。」


 そういって振るわれた拳は、とても遅いものだった。いやっ、とても遅く『感じた』のである。風を切る音が聞こえ、難なく彼の拳を避ける。そして俺の体より勝手に、紅骸が発動し、左腕を紅く染め上げる。そして、足元には俺の冷気で作られた白銀の狼が現れたのであった。


「花・・・陽炎・・・犬千代・・・。」


「何をぶつぶつ言ってるんですか・・・・?」


 そういって再び天海が攻撃を仕掛ける。白銀の狼が攻撃の合間を縫って天海の喉元に喰らい付く。この時、初めて天海に苦悶の表情が浮かぶ。そして、超聴力・長視力を使って彼の懐に入り、紅い左手をかざす。すると天海は苦痛ゆえの悲鳴を上げた。


「お前の・・・『創成』の力に対するのは俺の・・・・『還元』だろ・・・?」


 天海の体は少しずつ粒子化して消え去っていく。しかし彼も抵抗しないわけではなく、鋭い爪を俺にはなってきた。俺に避ける術は無く、ただ目を閉じるだけであった。しかしその爪は俺に届かなかった。彼と俺との間に割って入ったのはイザナミであった。


「百地 丹波守 イザナミ 参る!」